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Vol.95
2026年5月1日
環境再生プラザでは、除染や放射線に関する知識や経験を持つ専門家の方々を登録し、学校や自治体などに派遣しています。これらの専門家と放射線などを学ぶ学生を対象に、福島の今を知り、これからを考えるための情報共有会を実施しました。3月23日、13名の専門家と9名の学生が福島県内外から参加し、中間貯蔵施設や飯館村長泥地区で行われている環境再生事業の現地を訪れました。
中間貯蔵施設内にある東大和久建屋aでは、復興再生利用に使う土を保管しています。除染で出た土のうち復興再生利用の基準値(8,000Bq/kg)以下のもので、福島県外で初めての復興再生利用の事例となる首相官邸や各府省庁の庭に実際に運ばれたものと同じ土を見学しました。
旧特別養護老人ホームサンライトおおくまでは、震災当時のまま残されている様子を見学しました。また、敷地内の見晴台より土壌貯蔵施設を見ながら、この場所が、先祖代々受け継がれてきた土地であり、多くの人々の暮らしがあったこと、重い決断のもとでその土地を提供していただいたことなどの説明がありました。
復興再生土を保管する東大和久建屋a
見晴台から土壌貯蔵施設を見学
次に土壌貯蔵施設に移動し、実際にその上に立って地表近くや空間の放射線量を測りました。参加者の皆さんは自分で測定して数値を見て放射線量が十分に低いことを確認されていました。
中間貯蔵施設の敷地には、正八幡神社があります。地域の人々にとても大切にされていた場所で、代々祭りが行われていました。町を離れることになった氏子の皆さんが、現在もこの神社の整備を行い、心の拠り所として守り続けていることなどの話がありました。
土壌貯蔵施設での空間線量率の測定
地元の方が守り続けている正八幡神社
中間貯蔵施設の見学後、環境再生事業を行っている飯舘村長泥地区を訪れました。花の里ながどろ環境再生情報ひろば(愛称:ながどろひろば)にて、盛土した農地の基盤に再生資材化した除去土壌を使っていることなどの説明を受けたのち、造成した農地やながどろひろばに隣接するビニールハウスを見学しました。
ビニールハウスでは、実際の復興再生土を用いたモデルの展示で覆土した断面の様子や土をかぶせた上から放射線量を測ると土の遮へい効果で数値が下がることを確認しました。
見学全体を通して、放射線の影響や工事などに関する様々な質問があり、担当者からの説明を聞き、理解を深められていたようです。
環境再生事業の説明
ながどろひろば前での説明
農地の造成で設置した擁壁の見学
モデルを使用した放射線量の測定
ビニールハウスの見学後、ながどろひろばにて1日を振り返り共有するワークショップを行いました。専門家と学生がお互いに気づいたことや感じたことを話し、グループごとに発表しました。
ワークショップの様子
結果の発表①
結果の発表②
結果の発表③
今回のワークショップを通して、学生からは「福島で行われている放射線に関する授業について、実際に説明に行っている専門家の方の感じたことを聞くことができ、とても良かった」「思ったよりも安全に感じた」、専門家からは「『思ったより安全』と聞いて、まだまだ放射線を心配している人がいることを思い出した」「知らない=恐いという感想になるということ」などそれぞれの立場での気づきがあったようです。また、「福島は放射線で危険なのではと考えていたが、自分の地元の自然放射線と大きな違いはなかった」といった感想もありました。さらに、「私の放射化学等の講義で今回の経験を伝えたい」という専門家からのコメントもありました。
環境再生プラザでは引き続き、放射線や環境再生の理解促進に取り組んでまいります。