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Vol.30
2020年12月24日
広野町の新妻良平さんは、震災の翌年から米作りを再開されています。平成26年に新妻有機農園として法人化してから栽培面積を広げ、現在、広野町と楢葉町にそれぞれ7haを作付けしています。面積の拡大に加えて、「天のつぶ」などの様々な品種の栽培に挑戦しています。これまで栽培した米を日本酒にもしていましたが、今年初めて、福島県の酒米「福乃香」を栽培し、造り酒屋に醸造を依頼中で、どのような出来になるのか楽しみとのことです。
震災からこれまでなんとかやってこられたのは、アヒルがいたからこそ。有機栽培のアヒル農法は、震災以前からやっていたもので、はじめペットで飼っていたものが、田んぼに遊びに行ったときにそこでは雑草が生えにくいのに気づいたことがきっかけでした。アヒルは雑草や害虫を食べ、田んぼの中を泳ぎ回ることで雑草が生えにくくなります。
栽培した米はほとんどが消費者へ直売していて、おいしい、有機栽培なのにリーズナブルなどの評判で、北海道から沖縄まで購買者がいます。
アヒル農法で栽培している田んぼ
アヒルに餌をやるなすびさんと新妻さん
2015年「なすびのギモン」取材時
現在、水管理や雑草対策など農業経営をどのように効率的にしていくのか、中山間地域における小規模有機農業を対象としたスマート農業を関係機関と実証中とのこと。始めはスマホなどを使ったデータ取得など慣れるのに大変だったが、最近では、水位の自動調節、状況のリアルタイム通知などで見回りの回数が減るなど、省力化につながっているそうです。
稲刈り後の田んぼ
農業を柱にした地域再生について
熱く語る新妻さん
これからの取組みについて、栽培面積を広げてきているがすべて有機栽培ではないので、可能な範囲で有機栽培にしていきたいとのこと。また、米のほかに大豆を栽培し味噌を造って販売、引き合いが多くあるので味噌の加工場を作ったり、早くから栽培に取り組んでいたタマネギ「浜のかがやき」の評判がよいのでさらに力を入れていきたいとのこと。
農業が魅力的なものということを知ってもらうことで担い手が増えて、青々とした田んぼに穂波がさざめく、以前のようなほっとする風景の地域に戻していきたいと話されました。
農業による地域再生、環境再生の話題について、2015年に収録したなすびさんによる新妻さんへのインタビューを環境再生プラザのホームページで視聴することができます。是非、ご覧ください。