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Vol.44
2023年2月20日
福島に来訪する外国のお客様を通訳案内する「おもてなし福島通訳ガイドの会」が、全国通訳案内士資格をもつ会員向けの研修を2月5日(日)に開催しました。震災から12年近くが経過し、福島の情報も日々更新されていますので、震災やその後の福島の現状をあまりよく知らない外国人に対して、福島の最新の情報や正しい放射線の知識に基づいたガイドはとても重要です。そこで、「おもてなし福島通訳ガイドの会」では、福島県で行われてきた除染や環境再生の取り組みをあらためて振り返り、現在の中間貯蔵の現状や今後の最終処分をめざした再生利用等への理解を深めようと環境再生プラザを訪れ、福島の環境再生を学ぶ研修を開催しました。
まず、参加者は環境再生プラザ(2012年に福島県と環境省により設置された情報発信拠点)の概要説明をうけ、早速、館内の展示ビデオを見ながら、福島県のこれまでの歩み(除染から除去土壌の中間貯蔵施設への輸送、被災地域のいま)について学びました。
レクチャールームでは、環境再生プラザ青木アドバイザーにより原子力事故後の環境再生に関する講義がありました。放射性セシウムは土の粒子に固着する性質を持つことから地面の表層のみ除染が行われたこと、また水には溶出しないので地下水や井戸水は安全であること、などをあらためて学び、現在までの経緯を復習する良い機会となりました。
また、環境再生プラザに来る外国人留学生などに対して、青木アドバイザーはどのように英語で説明しているか、デモンストレーションを聞きました。最近よく話題となるトリチウムを例にあげ、具体的な数値を示しながらの解説となりました。「トリチウム含有水の海洋放出に関しては、海外では通常の方法と理解されており、環境再生プラザに来館する留学生には処理水に関する懸念を示されたことがない」と聞き、参加者は安心された様子でした。
最後に、事前にいただいた質問に対して青木アドバイザーからの回答がありました。除去土壌等が最終処分された後、中間貯蔵施設にある土地はどうなるのか、中間貯蔵施設内の用地は放射線の影響なく安全に利用が可能となるのか、との質問に対し、定期借地権の民有地は土地所有者に返還されること、除去土壌等の撤去後は施設内用地の安全な再利用が可能となることが説明されました。他にも多くの質問が出て、日頃から福島の現状について関心をもって仕事に臨まれている通訳ガイドの皆さんの知的探究心と意識の高さを感じました。
参加者からは、「情報を整理することができた」「今まではっきり水の安全性を聞いたことがなかったので安心した」「除染や原発作業員の職業被ばく線量は基準以下に抑えられていると聞き、安堵した」「事実を基に伝えることは大事なので、学んだことをガイドに生かしたい」などの声が聞かれました。
環境再生プラザでは、県内外から来館される方々へのご案内、各団体への専門家の派遣、また県内の小中学校での放射線授業への支援などを行っています。今後も引き続き、放射線や環境再生の理解促進に取り組んでまいります。