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Vol.53
2023年11月24日
9月29日の午後には、水田試験エリアの広い区画で稲の刈取りを行いました。新しく造成したこの区画では、今年度から稲の栽培を行っています。辺りでは、たくさんの赤とんぼが空を舞っていました。
はじめに、栽培の担当者から、水田の機能試験の経過や稲が順調に育ったことが報告されました。その後、地元の皆さんと環境省職員、関係者で稲穂が実る田んぼに分け入り、笑顔で刈取りの作業をしました。
稲の刈取りを終えて、地元の鴫原良友さんにお話を伺いました。「やっぱり農家は秋が感謝でもあり、楽しみでもあるね。実証事業に協力して、ここまで安心安全が確認できた。(今年はまだ食べることができないが)ぜひおにぎりをふるまって、口にする皆の顔が見たい、声を聞きたいな。作物を栽培して住めるようにするためには、市場に出せるまで頑張らないと。風評被害をなくして、階段を登れるようなやり方で国には進めてほしいね」。
今年5月に避難指示が一部の地域で解除された長泥地区。鴫原さんは「(今後いろいろと整備されて)都会の人が来て、インターネットをつないでリモートで仕事できるような場所になればいいね。夏も涼しいしすごく過ごしやすいところだよ」と語りました。
後日、稲の刈取り後の田んぼで、稲わらを天日干しするはせがけを行いました。昔ながらの田んぼの風景で、土地によって稲木(いなき)を縦にして稲を重ねて掛けたり、横にした稲木に重ならないように掛けたり、いろいろなやり方があります。地元の方によると、長泥では中山間地域の冷涼な気候で、刈り取った稲をしっかり干せるように横にして、はせがけをしていたとのことです。
二つの田んぼで刈取った稲は実証試験のため放射能濃度を測定*し、はせがけした一部の稲わらは、しめ縄作りワークショップなどの再生利用の理解醸成活動に活用される予定です。
環境再生プラザでは、今後もさまざまな機会を通して、地域の環境再生や復興への取組について情報発信してまいります。
*刈り取った稲の放射能濃度の値は、2022年度の結果で、稲わら3.5ベクレル/kg、玄米0.5ベクレル/kg、もみ1.2ベクレル/kgといずれも一般食品に関する放射性セシウム濃度の基準値である100ベクレル/kgを大きく下回っています。