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Vol.76
2025年1月23日
原発事故による被災地の環境再生について学ぶ高校生による見学と体験学習が2日間(12月12日~13日)の日程で行われました。参加したのは、福島県伊達市にある聖光学院高校の普通科進学探究コースと福祉探究コースの1年生37名です。
初日は、大熊町と双葉町の帰還困難区域にある中間貯蔵施設を訪れました。初めに、施設の敷地内にある大熊町立熊町小学校と介護施設サンライトおおくまを建物の外から見学しました。避難当時のままの内部の様子を見て、「ランドセルや教科書が机にそのまま残されていて、時が止まったかのようだった」「震災の記憶があまりなかったが、人々がどんなに大変で辛かったかが良く分かった」などの感想が多く聞かれ、強い印象を受けたようでした。
続いて、サンライトおおくまの見晴台から県内各地の除染で出た土を保管している土壌貯蔵施設を見渡し、多くの住民の方々から土地を提供していただき建設されたこと、除去土壌の貯蔵状況や県外最終処分の課題について説明を受けました。また、実際に貯蔵されている土壌の上を歩いてその規模を実感し、線量計で空間線量を測定しました。見学後、生徒たちは「いろいろな人が思いを込めて復興を進めている。放射線の値も小さく驚いた」「知り合いや友だちにも現状を知らせて、少しでも復興の手助けになれば」と語りました。
2日目は、なすびさんが移動のバスに同乗し、除去土壌の再生利用の実証事業が行われている飯舘村長泥地区を訪れました。花卉栽培をしているビニールハウスで、地元の栽培支援員の鴫原清三さんに教えていただきながら、ストックという花の苗をプランターに植えました。花は今春に収穫、新入生の歓迎に使う予定です。
近くの長泥コミュニティーセンターでは、地元の菅野清子さんらと賑やかに交流しながら、栽培された花を使ったしおりを自分用と新入生用に2枚ずつ制作しました。身近な方に花束を贈る学校行事などを通して日頃から花に親しんでいる生徒たちからは、「長泥の花が綺麗だった」「センスが問われたが何とかできた」「農家の方と交流できて有意義な時間が過ごせた」などの声が上がりました。
午後は飯舘村内を移動し、図図倉庫(ズットソーコ)を訪れました。この場所は「つながりを再生する秘密基地」をコンセプトに、多様な人が集まり地域環境づくりにアプローチする拠点で、ホームセンターを改築した施設内にイベントスペースや環境に関する展示、アトリエや実験ラボなどを併設しています。
代表の松本奈々さんから説明を受け、地域環境づくりの一環として、3班に分かれて木棚のペンキ塗り、スチール製の収納庫の組み立て、もみ殻を詰める作業を行いました。これらはすべて、この場所で使われるもので、例えば、飯舘村で作られたコメから出たもみ殻は、アトリエ天井の断熱材として有効に活用されます。なすびさんも生徒たちの輪に加わり、約3時間、協働で作業をしました。
活動を終えて、生徒たちからは「飯舘村の方々が復興を目指して努力していることを知ることができた」「いろいろな人とつながりを持ち、考えを深められてよかった」との感想が寄せられました。なすびさんからは「高校生たちが福島の環境再生に携わってくれることを期待しつつ、若い力で福島県の未来を盛り上げていってほしい」との言葉がありました。
高校生たちによる2日間の活動の模様は、KFB福島放送で放送予定の番組「なすびのギモン」『地域の環境再生を学ぶ若者たち』で、1月28日(火)と2月4日(火)いずれも20時56分~21時00分(予定)に2回にわたりお送りします。また、放送後は環境再生プラザホームページでご視聴いただけます。是非、ご覧ください。
Vol.77 特別編 インターン生が見た福島復興への道のりを是非あわせてお読みください。