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環境再生レポート

Vol.34

2021年9月22日

阿武隈の里山をみなおす
-五十人山の歴史と自然を訪ねて-

葛尾村と田村市都路の境に位置する標高約883メートルの五十人山は、ツツジの群生地として有名で、「新ふくしま百名山」に選ばれた自然豊かな山です。山頂には山の名前に由来する「五十人石」があり、坂上田村麻呂が蝦夷地の平定時に侍従50人を山頂の大石に座らせ戦略を練ったとか。


歩きやすい登山道


山頂にある伝説の五十人石


気持ちのいい山頂広場

登山口から山頂へは約20分。道は歩きやすく、鳥のさえずりの中、森林浴を楽しめます。山頂付近には2ヘクタールほどの広大な芝生の広場があり、ピクニックには好適の場所です。山頂からは、鎌倉岳や移ケ岳、晴れた日には吾妻連峰や遠く那須連峰も見渡すことができます。


山頂から、鎌倉岳、移ヶ岳(右奥)を望む

この日は福島市の最高気温が38.4℃と猛暑日でしたが、山頂付近では風が涼やかで初秋を感じさせるようでした。山頂広場では、エゾゼミがジーーと長く低く鳴き、赤トンボのナツアカネが飛びかい、これからの南西諸島への旅の蓄えなのか、およそ2,000kmの渡りをするアサギマダラがさかんにウツギの花で吸蜜していました。


林床を彩るフシグロセンノウ


見事なヤマユリ


エゾゼミ


赤トンボのナツアカネ


ウツギの花とアサギマダラ

五十人山は、震災後に放射線等の不安から利用が少なくなった里山の利用促進を図る里山再生モデル事業として、登山道や頂上広場を除染するなどして放射線量の低減に取り組んでいます。個人線量計による被ばく線量を測定したところ、2時間10分ほどの登山で0.5マイクロシーベルト(μSv)でした※。
今回は真夏の山歩きでしたが、春には様々な里山の花が見られ、秋には広葉樹の紅葉が見事となります。
環境再生プラザでは、今後も様々な機会を通じて、地域の環境再生の情報を発信していきます。

※参考までに、今回の散策での被ばく線量0.5マイクロシーベルト(μSv)ですが、仮に毎月1回2時間散策したとすると、1年間では0.005ミリシーベルト(mSv)となります。日本人は1年間に大地からの自然放射線で約0.33mSv被ばくしており、このおよそ66分の1です(自然放射線は大地からだけでなく宇宙や食べ物由来もあり年間2.1mSvですから、このおよそ420分の1です)。

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