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環境再生レポート

Vol.89

2025年12月1日

浜通りの課題を考える「浜通りThinking」
―福島県内の大学生が中間貯蔵施設や双葉町を見学しました―

福島県内の大学生が浜通りの課題を考えるプログラム「浜通りThinking」で、中間貯蔵施設などを訪れました。環境再生プラザの企画で、震災の記憶がほとんどない大学生が、改めて震災や原発事故が地域に与えた影響やこれまでの環境再生への取組みなどについて学び、交流することを目的とし、福島県立医科大学と福島大学の学生等24名が参加しました。

まず、移動中のバスでは、お互いに大学で学んでいることや興味があること、今日の意気込みなどを共有しました。震災からの復興はまだ現在進行形であること、物事を見る視点のヒントや地域を活性化する人材について話合い、浜通りの特徴などを学びました。

最初に訪れた大熊町の大野駅前にある中間貯蔵事業情報センターでは、ガイダンス動画で除染により出た土壌や中間貯蔵施設の概要、福島県におけるこれまでの環境再生の歩みなどについて学びました。

中間貯蔵事業情報センターで動画を見る

福島の「この先」を考える

次に中間貯蔵施設内へ移動し、14年半が経過した現状を確認しました。特別養護老人ホームのサンライトおおくまでは、震災直後に避難を余儀なくされた入所者の当時の様子を想像しました。また、東京電力福島第一原子力発電所を望む高台からは、原子炉建屋や処理水タンクが立ち並ぶ様子を眺め、改めて震災と原発事故が起きた現実を実感しました。さらに、発電所を囲むように整備された中間貯蔵施設の様子を見て、かつて暮らした土地を苦渋の想いで手放した地域の方々の想いに触れました。

高齢者の避難について知る

東京電力第一原子力発電所を望む高台にて

土壌貯蔵施設では実際に放射線量を測定しました。参加者からは「線量が低くて驚いた。実際に線量計を使うことで知ることが多いと感じた」、「除染されている所とされていない所で線量が違ったので、除染は必要なことだと感じた」、「目に見える形で復興に向けた取り組みが行われており、自分は復興のために何ができるだろうかと考えさせられた」などの感想がありました。また、旧熊町小学校では、震災直後の様子がそのまま残っており、事故によりこれまでの日常が突然奪われた現実を実感しました。

土壌貯蔵施設での線量測定

旧熊町小学校の教室

次に、双葉町を訪れ、休校になっている双葉高校から旧商店街や双葉駅前周辺を歩くフィールドワークを行いました。町が移住に力を入れ移住者が増えるなか、義務教育を終えた子供たちが通う高校が双葉郡北部にはない現状を知り、驚きました。震災当時のまま残る住宅、建物が解体され更地になった場所、新築住宅などが混在する双葉町の今を目の当たりにして震災からの課題への理解を深めました。

震災当時のまま残された酒造店

旧商店街の震災当時を想像する

地域住民の心のよりどころとして復活した初發(しょはつ)神社、防災機能を取り入れた役場庁舎や双葉駅西側のえきにし住宅、アートで町を盛り上げるFUTABA Art Districtなどを見て回りました。消防団第二分団屯所では、地震のため停電で電動シャッターが動かず、やむを得ずポンプ車の車体をぶつけて出動したことを知り、改めて当時の緊迫した状況を知りました。
「震災のことを後世に伝えるには何を残すべきか考える機会になった」、「震災前や震災当時と今の双葉町の息づかいが見えた」という感想がありました。

アートに込められた想いを感じる

消防団屯所でのエピソードを知る

最後に訪れた東日本大震災・原子力災害伝承館では見学を通して、「二度目の訪問だったが、中間貯蔵施設や双葉町のフィールドワークをしたことで、新しい視点で展示をみることができた」、「正しい知識を県内外の人に伝えていきたいと思った」、「いつ起こるか分からない災害について日々備えることの大切さを感じた」、「一度来たことがあったが、より成長した今では捉え方が変化したと気づくことができた」など新しい気づきがあったようです。

復興支援の様々な写真を眺める

見学後の振り返りの様子

一日の見学の振り返りでは、グループに分かれディスカッションをしました。各自が印象に残ったことを共有した後、浜通りの課題、友達や家族へ伝えたいこと、自分にできることは何かを考えました。参加者からは、「自分ひとりでは思いつくことのできない様々な角度からの意見を聞くことができ、福島に対する視野を広げることができた。この機会を基に色々な視点で物事を客観視できるようにしたいと思った」という意見がありました。

環境再生プラザでは引き続き、放射線や環境再生への取組について情報発信してまいります。

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除染活動レポート(~2017年1月19日)

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