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Vol.77
2025年1月23日
前回の環境再生レポートVol.76では、12月に被災地を訪れ、見学や体験を通して環境再生を学ぶ高校生たちを紹介しました。この活動には、福島地方環境事務所でインターンシップに参加していた大学院生が同行していました。地域の今を見て感じたことをインターン生がご紹介します。
こんにちは。大学院1年の小笠原彩聖です。
このレポートでは、聖光学院高校による見学会にインターン業務で同行した感想をお伝えします。
過去と未来が共存する「今」
東北出身の私にとって、小学生で経験した東日本大震災は決して忘れることのできない出来事です。地元の盛岡では比較的早く生活が元に戻りましたが、福島をはじめとする被災地の方々が抱えられてきた苦しみは、私の経験とは比べ物になりません。
大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設では、避難指示によりいまだに立ち入りが制限される帰還困難区域にある小学校や福祉施設を見学し、震災と原発事故の爪痕を目の当たりにしました。原子力災害の影響を改めて認識するとともに、復興への道のりがいかに長く険しいものであるかを痛感しました。
一方で、飯舘村で唯一の帰還困難区域で、部分的に避難指示が解除された長泥地区でのプランターへの花苗の植え替えや図図倉庫(ズットソーコ)での体験を通して、原発事故の被災地が未来に向けて着実に歩みを進めていることも感じました。
特に、復興が進められている土地で作物が育つ様子を見たときは、未来への希望を感じました。
見学と体験を通して、福島は過去と未来が共存する「今」を生きている場所なのだと強く認識しました。復興はまだ道半ばであり、多くの課題が残されていますが、地域の人々は未来に向けて懸命に努力しています。今回の経験を活かし、私にできることから少しずつ福島復興に貢献していきたいと考えています。
また、この貴重な体験を家族や友人にも伝え、多くの人々に福島に関心を持ってもらうきっかけを作りたいと思います。
なすびさんにお会いして
最終日にはタレントのなすびさんにお会いする機会に恵まれました。以前より懸賞生活の話題を伺っており、ご本人にお会いすることができ大変光栄に思います。
なすびさんは、想像していた通り温かくて優しい方でした。地元のソウルフードの油パンを「5個買ったから1個あげるよ」と快く差し入れしてくださり、写真撮影にも笑顔で応じてくださいました。図図倉庫でのペンキ塗りやもみ殻入れ作業にも高校生に交じって率先して参加され、その熱心な姿に感銘を受けました。
今回の活動を通して、なすびさんがなぜこれほど多くの人々から愛されているのか、その理由を深く理解することができました。なすびさんの福島に対する熱い思いと、地域の方々との交流を大切にする姿勢は、大きな学びとなりました。
地域と縁を紡ぎ、未来へと繋がる
業務の役割分担としては、生徒の皆さんの作業を見守り、写真を撮影する立場でしたが、後半にはもみ殻入れの制作に私も参加させていただきました。倉庫内のアトリエの天井の断熱材として使われるもので、単なる作業ではなく、この場所に愛着を持ち、倉庫や地域との縁を紡ぐための、未来へと繋がる取り組みの一環であると伺い、深く感銘を受けました。
もみ殻を入れる作業は、袋にイラストを描いてから詰めるというものでした。私もちゃっかりイラストを描いてみました。福島ポケモンのラッキーです。自分の描いたイラストが倉庫に展示されると思うと、格別な思いがします。また、今回の体験を通して、聖光学院高校の生徒の皆さんとも親睦を深めることができました。最後は皆でなすびさんとパチリ。得がたい経験となりました。
環境回復や地域の課題への高い関心から、地方環境事務所でのインターンシップに参加された小笠原さん。初日の顔合わせでは「趣味を教えてください」と逆質問して職員を和ませ、対話を深める姿勢に感心させられました。高校生や地域の方と積極的に交流されていた姿が心に残っています。
3日間お疲れ様でした!