ここから本文です
Vol.61
2024年4月17日
環境再生プラザでは、教育現場や自治体などからの要望に応じて、放射線やコミュニケーションの専門家の方々を派遣しています。これらの専門家に福島のいまの状況について知っていただくため、3月21日に現地見学を主体とした情報共有会を開催し、福島県内外から14名が参加されました。訪れた場所は、飯舘村長泥地区の環境再生事業の実施場所、飯舘みらい発電所、浪江町のバイオマスレジン福島などです。
環境再生事業の現場では、飯舘村で出た除去土壌を再生資材化し、農地の基盤として使っています。当日はこれまでの農地造成の状況やそこで栽培された野菜やコメなどの放射性物質の検査結果などの説明がなされました。検査結果はいずれも食品の基準値である100ベクレル/kgを大きく下回っています。
飯舘みらい発電所は、今年の7月に営業運転を開始する予定の木質バイオマス発電所です。当日は事業主体の飯舘バイオパートナーズの田中丈夫氏にご対応していただきました。田中氏からは、中通り・浜通りの間伐材や樹皮(バーク)等を発電燃料に利用し、飯舘村をはじめ福島県の里山再生・林業振興に貢献すること、発電所の建設地に以前立地していた環境省の仮設焼却施設と同様に放射性物質対策を設備面・運用面で的確に実施すること、将来、発電所の排熱を農業に利用する取組みに協力することなどをご説明いただきました。
飯舘村から浪江町への移動途中、川俣町山木屋地区にある「語らい処 やまこや」で昼食をとりました。ご主人の紺野希予司さんは、2017年に山木屋地区の避難指示が解除されてからいち早く戻り、地域の人たちが語らえる場所を作りたいとの思いで店を始められました。今では、山木屋在来種の「高原の宇宙(そら)」を使ったソバや、昔、農作業の途中でよく食べていた軽食を「こずはん」とよんだそうですが、その一つのおはぎも提供しています。
バイオマスレジン福島は、食用に適さないお米と石油系プラスチックを混ぜ合わせてバイオプラスチックの「ライスレジン」を作っています。お米の配合率は20%、50%などいろいろですが、植物である米を使うことからCO2の排出削減や石油系プラスチックの削減につながります。工場は既に稼働しており、同社の岡田壽光氏より説明をしていただきながらライスレジンができるまでを見学しました。
参加された専門家からは、県外にいると福島の情報がなかなか入ってこない、現地に数年ぶりで足を運んで直接話を聞くことで、進んでいるところとそうでないところが実感できた、こうした情報共有は継続してほしい、などの感想をいただきました。環境再生プラザでは引き続き、放射線や環境再生の理解促進に取り組んでまいります。