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常磐自動車道の浪江インターチェンジ(IC)―南相馬IC間(18.4キロ)、相馬IC―山元IC間(23.3キロ)が12月6日、開通しました。今回の開通により浪江町と仙台市の移動時間は約20分短縮され、1時間30分ほどになります。浪江町以北の相双地区と仙台市が高速道路で直結し、浜通り地方の復旧・復興の加速が期待されます。
環境省では、常磐自動車道の除染を実施し、平成25年6月に終了しました。浪江IC―南相馬IC間の除染対象区間においては、本年10月21日に測定した空間線量率が、平均で毎時0.6〜0.7マイクロシーベルトであり、常磐自動車道の除染方針の目標である毎時3.8マイクロシーベルトを大きく下回ったことも確認できました。また、平成27年3月1日の全線開通に向けて整備工事が進められている常磐富岡IC―浪江IC間(14.3キロ)については、最も線量が高く最大で除染前に毎時35.9マイクロシーベルトありました。現在では最大で毎時5.4マイクロシーベルトまで低減しており、除染方針の目標の空間線量率(毎時9.5マイクロシーベルト)を下回っていることを確認しました。これらは環境省による除染と、NEXCO東日本による整備工事の「一体的施工」により、除染作業に加え路盤の工事舗装による遮蔽効果等が働き、更に空間線量率を低減させた結果です。
今回開通した浪江IC―南相馬IC間は、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響を受け、工事が一時中断していました。早期開通を目指し、国は関係機関と連携し、除染とインフラ復旧・整備工事の一体的施工に取り組みました。この一体的施工によって、①放射線量の低減、②廃棄物の削減、③工期の短縮を同時に可能とすることができました。この結果、除染とともに復旧・整備工事が急ピッチで進み、年内の開通に至りました。
同日、開通に先立ち宮城県の山元ICで開通式典が行われ、関係者約360名が出席しました。内堀雅雄福島県知事は「東日本大震災による工事の中断に加え、資材不足や除染など多くの困難を乗り越え新たな2区間が開通することは、福島県の復興の象徴ともいえます。常磐道は福島県と宮城県をつなぎ、広域的な連携を支える大動脈として、被災地の復興に向けて大きな追い風となります。未来を開く希望の道として全線開通を目指したい」と挨拶しました。村井嘉浩宮城県知事は「東北道とのダブルネットワークが形成され、緊急災害時の新たなルートとしても期待されます」と述べました。内堀知事と村井知事は、互いの県花を交換し固い握手を交わし、福島、宮城両県の絆を深めました。その後、開通を祝い関係者と地元の子どもたちなどによるテープカットが行われました。
国は、今回の一体的施工の経験を活かしながら、今後も各自治体と協力し、地域の復興に向けて、効果的・効率的な手法により、除染を加速化し、JR常磐線の再開に当たっても、復旧のスケジュールにあわせ、除染と復旧を一体的に進めて行きます。