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環境省は福島再生のために、県・市町村とともに除染活動に取り組んでいます。今回は国見町の加工再開モデル地区におけるあんぽ柿の生産加工の様子をお伝えします。

国見町の冬を彩るあんぽ柿。除染後の地域一丸となった取組により出荷量増大で営農再開に弾み。

伊達地方特産あんぽ柿出発式が12月5日、JA伊達みらい梁川共選場で行われました。

福島県あんぽ柿産地振興協会が主催したもので、平成23年度からあんぽ柿の加工を自粛していた伊達地方では、昨年度から加工再開モデル地区を設定し、3年ぶりに市場へ出荷しました。さらに今年度は、加工再開モデル地区を前年度23地区から61地区に拡大し、出荷量は伊達地方全体で昨年度の3〜4倍、東日本大震災前の約半分に相当する700トンまで回復しようとしています。

今年度モデル地区が町全域に広がった国見町からは、佐藤弘利副町長が出発式に参列し、「生産者のみなさんが苦労を乗り越えて作った柿。今年度を、あんぽ柿のブランド力を取り戻す大きなステップとしたい」と抱負を語りました。

国見町では、出荷再開を目指し、生産者、出荷団体、行政が一丸となり除染に取り組み、平成23年度の冬に柿の木の除染を終了しました。幼果期と収穫前に放射性物質の検査を2度行い、それぞれ10ベクレルと7ベクレル以下(いずれも1kgあたり)という厳しい基準を満たす安全な原料柿を厳選し、干場や加工機器の清掃・整備も徹底。また、乾燥させた柿は、生のものより放射性物質濃度が高くなってしまうため、加工後の出荷時には非破壊検査により全ての製品の全量検査を実施し、食品の基準値(1kgあたり100ベクレル)を下回ることを確認しています。

JA伊達みらい国見営農センターを訪れると、5台の非破壊検査機が休みなく稼働していました。同センターの門守直之さんは、「検査機の都合で、まだ贈答用の化粧箱での出荷ができないのが残念。早く再開したい」と意欲を見せています。

今年度モデル地区に指定され、4年ぶりに加工を再開したJA伊達みらい・あんぽ柿国見支部長の高橋孝さんの作業場では、出荷に向けた細かい仕上げ作業に余念がありません。祖父の代からあんぽ柿を作り続けてきた高橋さんは、「出荷が再開できて本当によかった」と喜びを語り、「高圧洗浄機で1本ずつ丁寧に表皮を洗い落とす作業は、厳しい寒さの中で大変でした」と当時の除染作業を振り返りました。

国見町では本格的な営農再開に向け、太田久雄町長や職員も各地の物産展に出向き、あんぽ柿のPRに努めています。産業振興課の引地真課長は「今後も全国の道の駅などでのセールス活動を強化し、国見発のあんぽ柿のブランド力向上に努めたい」と語ります。

国は、今後も関係省庁や自治体と連携しながら、復興に向けた地域の取組を後押ししていきます。


雪の中、高圧洗浄機を使用し柿の木を除染する生産者。表皮を洗い落とし木の皮についた放射性セシウムを取り除いた。


干場には鮮やかなオレンジ色の柿が連なる。あんぽ柿に使われる品種は「蜂屋」(はちや)、「平核無」(ひらたねなし)の2種類。高橋さんが手にしているのは「蜂屋」。


町、JA伊達みらい、生産者が連携し、あんぽ柿の出荷再開に一丸となって取り組んでいる。左から国見町産業振興課の中條伸喜係長、国見検査場責任者の佐藤長一さん、国見営農センター指導係の門守さん。

コラム:「おいしい!」を原動力にあんぽ柿の再生を

「暑い夏を経て、秋は寒暖差が大きかったから、今年のあんぽ柿はいい出来ですよ」。JA伊達みらい・あんぽ柿生産部会長の宍戸里司さんは笑顔を見せます。

あんぽ柿は、県北地方だけでなく、福島県にとっても冬の特産品の代名詞。震災前の取扱高は全国一でした。モデル地区での加工再開から2年目を迎え、出荷量はようやく震災前の半分まで届きそうですが、宍戸さんは「多くの引き合いがあるのに、まだすべてにお応えできない」と残念そう。

「食べた方に『おいしい!』と言ってもらえることが頑張る原動力」だと語る宍戸さんは、安全安心のために各農家に衛生管理を徹底し、早く震災前の出荷量に戻せるよう、前向きに取り組みたいと話されました。

福島再生vol.81 国見町 PDFリンク

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