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東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、環境省は県・市町村等と協力して除染や廃棄物処理を進めています。今年3月から福島県内の除染土壌等の一部を中間貯蔵施設の保管場へ運ぶパイロット輸送(試験輸送)が始まりました。
中間貯蔵施設には、除染に伴う土壌や10万Bqkgを超える廃棄物などを最長で30年間貯蔵することにしています。パイロット輸送では、本格的な輸送に先立ち、輸送手段の効率性や対策の効果を確認することとしています。対象は国や市町村が除染を実施している43市町村で、それぞれの現地状況に応じて1,000m3程度(大型土のう袋、1000個程度)ずつを中間貯蔵施設の保管場に搬入します。現在、双葉郡と田村市の9市町村からの搬出・輸送を実施しています。
パイロット輸送を統括管理するのは、国と、国が事業を委託した中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)です。除染土壌等を入れた全ての大型土のう袋に管理タグ(荷札)を付け、仮置場や積込場から搬出し、輸送後、保管場に搬入・定置するまで一元的に全数管理しています。
日々の輸送車両の管理ではGPS機能を活用し、輸送する車両の位置情報をリアルタイムで把握しています。輸送ルート上の狭い道路などには注意喚起の看板を設置し、一部の道路には交通誘導員を配置するなど、事故防止を徹底しています。さらに、運転者の教育や訓練を行い、万が一、事故が発生した場合にも速やかに対処し、事故の影響を最低限に抑えられるようにしています。加えて、輸送ルートでの放射線のモニタリングを行い、周辺環境に対する安全性の確認も行っています。
写真は、5月26日に始まった富岡町からのパイロット輸送の積込作業の様子です。10tトラック4台がそれぞれ3往復し、除染土壌等が、仮置場から保管場に運ばれました。仮置場では作業員が、除染土壌等の入った土のう袋の重さと、放射線量を一つずつ計測し、クレーンでつり上げトラックに積み込みました。さらに飛散などを防ぐため、荷台をシートで覆い、最後に、トラック周囲の放射線量を計測しました。計測されたデータは、専用の端末から送信され、いわき市にある中間貯蔵施設統括管理センターで確認を行っています。こうした搬出作業を全て終えた後、トラックは保管場へ向けて出発しました。
環境省は、福島県の皆様のご理解とご協力の下、関係機関と連携し、安全で確実な輸送を行い、各市町村からの早期搬出に向けて全力で取り組んでいきます。