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福島市内で2月11日、「みんなでこれからを考える『ポジティブカフェ』」が開かれました。除染や放射線影響の不安軽減に取り組む様々な方々が疑問や意見を率直に話し合い、経験を共有する目的で除染情報プラザが主催したもので、100名を超える参加がありました。
この「ポジティブカフェ」は、平成25年度から除染情報プラザで取り組んでいる活動です。今年度は、外部被ばくに関する課題と対策を考える「こども・はかる」、内部被ばくに関する課題と対策を考える「食・農」という2つのサブテーマに分かれ、これまで4回にわたりワークショップや測定などを実施してきました。その中では、顔を合わせてコミュニケーションできる場所が必要なこと、多くの情報を見聞きするより自分で体験してみることそして、多様な思いを持つ方々を尊重してつながりを持ちながら活動することの大切さが見えてきました。
こうした取組の成果を共有するために、今回のポジティブカフェでは、福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員の開沼博さんをファシリテーターに迎え、ポジティブカフェ参加者からの活動紹介とともに、専門家も交じえたディスカッションを行いました。
「こども・はかる」のテーマでは、一般社団法人ふくしま連携復興センター事務局長の山崎庸貴さん、特定非営利活動法人ビーンズふくしまの三浦恵美里さん、福島県立福島高校スーパーサイエンス部の齊藤美緑さんから活動紹介がありました。その中では、自分で測ることの意義が共通して語られました。放射線という目に見えないものを測って、数値を見て理解することで得られる納得感など、実感のこもった発表がありました。医療法人相馬中央病院内科診療科長の越智小枝さんは、「人によって放射線に対する不安の感じ方は違う。何かを測ろうとする時、そこには目的があるため、目的に合わせて測り、その数値がどういった意味を持つのかを理解してほしい」と語りました。
「食・農」のテーマでは、山形避難者母の会代表の中村美紀さんの「福島県産の食材を避ける人が今もいる」という報告から、「風評」について話が及びました。福島大学経済経営学類教授の小山良太さんからは、「事故後、消費者に向けた農産品のPRは、『安全・安心』というスローガンばかりを伝えていることが多いため、消費者は疑念を抱き信用しない。結果をしっかりお伝えするとともに、放射線量を低下させるための対策や農家の苦労、出荷前の厳重な検査体制のことなど、ここに至るまでのプロセスも一緒に伝えることが重要だ」と指摘しました。
ディスカッションでは、ゲストレポーターを務めたタレントのなすびさんが会場を回り、放射線に関する会場からの様々な声を取り上げて、登壇者とつなげていただきました。
また、福島県立本宮高校教師・詩人の和合亮一さんが登壇し、「実は何も解決していない」現実に対する悔しさを自作の詩に託して、福島の問題を日本全体、そして世界の問題と捉えて語り続けようと呼びかけました。
除染情報プラザは、除染や放射線に関する最新の情報をお伝えするとともに、住民の皆さまとともに考えながら、皆さまの自発的な活動を後押ししていきます。