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広野町は、6月中旬現在、震災前に約5500人いた全町民のうち帰還している人は約350人にとどまり、いまだ多くの町民が避難生活を送っています。「できるだけ早く除染を進めて、町民の帰還を促したい」と同町の山田基星町長はいま、職員や関係機関と一丸となり懸命な町の再生に取り組んでいます。
昨年12月から始まった除染も子どもが安心して生活できる環境を取り戻すことを最優先事項に掲げ、幼稚園や小・中学校などの文教施設と多くの町民が利用する公共施設を優先して除染。次に住宅や庭、道路などの生活圏においても、線量の高いスポットから除染作業に着手しています。「8月までには町全域での除染の第一段階を終わらせ、保護者の方々のご意見も聞きながらですが、2学期から町内での小・中学校での授業を再開させたいと思っています」と山田町長。山林や広大な農村地区が多く、除染も1歩ずつではあるけれど着実に前に進んでいます。「来年には農家の方々に(稲作の)作付けをさせてあげたい」と意欲を見せます。
「町民の方々にはご苦労をかけていますが、1日でも早く除染を済ませ、皆さまが納得して帰還できるよう、これからも努力してまいります。また、県民の皆さまには一丸となり第一原発を収束させ、元の生活に戻れるよう知恵を貸していただきたい」。そう言って、山田町長はまた町の再生に向けた忙しい執務に戻っていきました。