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環境省は福島の再生のために、県・市町村と共に除染活動を続けてまいります。今回は、ホタルの里として知られる桑折町から、ホタル観賞者のために除染を実施し地域をあげて保存活動を行う様子をレポートします。

地域で育んだホタルの舞う風景が子どもたちの誇りになる。

桑折町を流れる産ヶ沢(うぶがさわ)川はホタルの生息地として知られ、毎年県内外から多くの観賞者が訪れます。今年は6月28日から7月2日の見頃に合わせて、同町観光協会がJR桑折駅近くの臨時駐車場からシャトルバスを運行し、観賞地へ来訪者を送迎しました。観賞地のひとつである産ヶ沢川上流部の施設、うぶかの郷も多くの観賞者で賑わいました。福島市から訪れた女性は、「昔は当たり前のように飛んでいたホタル。懐かしい気持ちでいっぱいです」と初夏の風物詩をしみじみと楽しんでいました。

町役場の参事兼原発事故対策課課長の渡邉美昭さんによると、同施設は観光客だけでなく、研修や法要、立寄り湯など町民の利用も多いため、交流の場として安心して足を運べるよう、敷地全体の除染を今年5月に行ったとのことです。

同施設支配人の石幡政子さんは、「うぶかの郷はホタルをはじめ、桑折町の自然を楽しんでいただく拠点です。除染を終え、より安心してお客様をお迎えできます。震災後、客足が減った時期もありましたが、花見や低山ハイキングの観光客が戻ってきた手応えを感じます」と語りました。

うぶかの郷では、地元のボランティアグループ、夢ほたる・こおりのメンバーが、来訪者に対して観賞案内を行っています。発足8年目を迎える同会は、ホタルの保全活動のほか、地元の半田醸芳小学校でホタル総合学習の講義をしたり、観察会や河川の清掃活動を行ったりするなど、自然学習に取組んできました。ホタルの季節には、多くの地元の子どもたちが保護者に連れられてうぶかの郷を訪れます。事務局長の阿部公嗣さんは、「ホタルを通じて、大人と子どもが交流する機会をこれからもつくっていきたい」と語ります。「きれいだった」「来てよかった」という観賞者の声が、ホタルの舞うふるさとに対する、子どもたちの誇りを育みます。


夢ほたる・こおりの中心メンバー、阿部公嗣さん(左)と石幡政子さん。


ホタルの案内を手伝っている地元・半田醸芳小の斎藤巧斗くん(左)と半沢佳奈さん。


産ヶ沢川沿いに立つうぶかの郷。ホタルの観察会など親子交流の拠点となる。


うぶかの郷敷地除染の様子。駐車場など植栽の土を除去し、新しい土を客土した。


6月中旬頃から産ヶ沢川に舞い始めたゲンジボタル。写真協力/佐藤克彦氏。

福島再生vol.46 桑折町 PDFリンク

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