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福島市大波地区は局地的に放射線量が高く、市内でいち早く昨年10月から除染が始まりました。早期除染実現の背景には地区住民の結束力がありました。
「除染の前提になる仮置き場を決めるために、候補地に一番近いお宅へ説明に行った時のこと。「誰でも家のそばは嫌。でも地域のために~」と事を分けて話すと納得してもらえたんです。市の隣接住民説明会の開催前に反対の声が出た時も「孫や子どもと暮らせるようにしませんか。そのために力を貸してほしい」、とお願いすると、そこでは反対はなかった」と語る佐藤俊道大波地区自治振興協議会長は、地区住民の協力にあらためて感謝します。
そして始まった除染作業では住民と行政が連携。全国から駆けつけてくれた多くのボランティアの「ありがたい力」も得て小学校や住宅はほぼ終了し、住宅周辺や農地の除染にも取りかかりました。
「空気の澄んだ大波に戻すために、効果的な方法などを我々も提案しつつ、行政と向き合ったり並んだりしながら取り組んでいきたい」。佐藤さんは最後にこう語りながら、緑豊かな大波の景色に目を移しました。
優先的に除染を終え、大波地区の未来を担う子どもたちが元気に通っている大波小学校。
佐藤さんが数多く制作中の「諦めず、くじけず、風化させず」という地区住民の復興への意思を託した『まけないいし』。
「我々の世代で解決して、次の世代に元の大波を渡したい」と佐藤俊道福島市大波地区自治振興協議会長。