ここから本文です
田村市都路町の一部は、昨年4月に警戒区域から避難指示解除準備区域に再編され、7月から除染特別地域として、国による除染が進められてきました。
今年に入り、田村市に明るいニュースが届きました。政府が、この避難指示解除準備区域で、本格的な稲の作付けを容認することを発表したのです。
この地域では、大半の農地の除染を深耕で行いました。耕土深が浅いため、なるべく石を掘り起こさないよう配慮した方法です。田村市は昨年来、農家に安心して作付けしてもらうことを目指し、除染後の農地で、野菜10品目の試験栽培と稲の試験作付けを実施してきました。その結果、試験期間中に農作物の放射性セシウム検出値が、食品の基準値を大幅に下回りました。県の農林水産部園芸課の安部充副課長兼主任主査は、「田村市の営農再開は、農家の協力を得て検査を積極的に実施したことが大きい。他自治体の出荷制限解除につながるモデル事例です」と評価しています。
田村市役所産業部農林課・門馬吉喜課長は、「出荷に向けた野菜と米の生産が認められたことは、生活基盤を取り戻す過程で大きな前進です。避難指示解除準備区域の除染は、ほぼ終了しました。生産と生活の両方の場の安全が確認できてはじめて、帰郷への気持ちも高まると思います」と語りました。
この5月中旬、同市合子地区の農家・坪井久夫さんは、JAたむら東部営農生活事業所・青木良さんとともに田植えに励んでいました。坪井さんは「作付け再開が決まって念願叶った、という思いです。仮設住宅から通いながら農作業をすることになりますが、今秋にはトマトなどの野菜の作付けにも挑戦したい」と、晴天の下で喜びを表しました。