環境省は平成24年3月より、「常磐自動車道警戒区域内における除染モデル実証事業(以下「モデル事業」という。)」を実施し、その結果を基に、平成24年12月より「常磐自動車除染等工事」を行い、平成25年6月をもって終了しました。
併せて、NEXCO東日本による復旧・整備工事が行われた結果、平成26年2月22日の常磐富岡IC~広野IC再開通に続き、平成26年12月6日には浪江IC~南相馬IC、平成27年3月1日には常磐富岡IC~浪江ICが開通し、常磐自動車道の全線が開通しました。
当除染においては、回収型高圧水洗浄などの新技術の導入を行いました。
また、除染とNEXCO東日本による復旧・整備工事との一体的施工を実施しました。その結果、放射線量の大幅低減、廃棄物の削減、工期の短縮を同時に可能とすることができ、復興を加速する好事例となりました。
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常磐自動車道(常磐富岡~浪江)における除染方針の達成状況について(お知らせ)
常磐自動車道(浪江~南相馬)における 除染方針の達成状況について(お知らせ)
常磐自動車道(広野~常磐富岡)における 除染方針の達成状況について (お知らせ)
常磐自動車道(常磐富岡IC~浪江IC)の開通について(平成27年3月1日現在)
平成24年度常磐自動車道除染等工事 概要
工事内容
・モデル事業の成果を基に、常磐自動車道の既開通区間(※)である広野インターチェンジ(以下「IC」という)から常磐富岡IC間及び未開通区間である常磐富岡ICから南相馬IC間の別途示す区間において、除染等の措置等を行いました。
※「既開通区間」は、東日本大震災前に開通していた区間を示します。
工事対象範囲
・車道上の空間線量率が3.8µSv/h超(年間20mSv超相当)の箇所
各市町村の除染範囲
富岡町 | 大熊町 | 双葉町 | 浪江町 | 南相馬市 |
---|---|---|---|---|
約3.9km | 約2.7km | 約5.5km | 約7.1km | 約1.7km |
合計 20.9 ≒ 21km |
実施面積
路面 (本線用地) |
路面 (将来用地) |
切土法面 | 盛土法面 | 側溝 |
---|---|---|---|---|
70,300m2 | 86,400m2 | 201,000m2 | 332,100m2 | 82,000m |
作業員数(平成25年8月末時点)
・1日最大約260人(のべ30,000人日)
除染方法と結果(広野IC~常磐富岡IC 平成25年6月現在)
・道路構造、空間線量率を考慮した方法で除染を実施しました。広野IC〜常磐富岡ICについては、概ね当初の方針どおり線量を低減でき、その他の区間については一部で線量の高い区間があるものの、線量を低減することができました。
※地図からも選択可能です。
ご覧になりたい区間をクリックしてください。
3.8µSv/h超~9.5µSv/h以下
(年間20~50mSv相当)
9.5µSv/h超(年間50mSv)
未開通区間(常磐富岡IC~浪江ICの一部約4.1km)主な除染方法
既開通区間(広野IC~常磐富岡ICの一部 約3.3km)
除染対象 | 除染方法 |
---|---|
法面 | 除草 |
路面 | 高圧水洗浄 |
橋梁の路面以外 | 高圧水洗浄(コンクリート側壁) 拭き取り(高欄、落下防止柵等) |
未開通区間(常磐富岡IC~南相馬ICの一部約13.5km)
除染対象 | 除染方法 |
---|---|
法面 | 除草 |
将来用地 | 除草、混合、転圧 |
橋梁 | 高圧水洗浄(路面、コンクリート側壁) 拭き取り(高欄、落下防止柵等) |
未開通区間(常磐富岡IC~浪江ICの一部約4.1km)
除染対象 | 除染方法 |
---|---|
法面 | 除草、植生基材除去、植生基材吹付 |
将来用地 | 除草、混合、転圧 |
橋梁 | ブラスト(路面、コンクリート側壁) 拭き取り(高欄、落下防止柵等) |
結果
既開通区間(広野IC~常磐富岡ICの一部 約3.3km)
道路構造 | 測定点数 | 区分 | 道路中央の空間線量率(μSv/h@100cm) | ||
---|---|---|---|---|---|
工事前 | 工事後 | 低減率 | |||
土工部 | 120 | 平均 | 4.3 | 3.0 | 30% |
最大 | 5.9 | 3.9 | |||
最小 | 2.1 | 0.9 | |||
橋梁部 | 4 | 平均 | 4.3 | 3.5 | 19% |
最大 | 4.4 | 3.8 | |||
最小 | 4.2 | 3.2 |
未開通区間(常磐富岡IC~南相馬ICの一部約13.5km)
道路構造 | 測定点数 | 区分 | 道路中央の空間線量率(μSv/h@100cm) | (参考)整備工事を含めた低減率※2 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
工事前 | 工事後 | 低減率 | ||||
土工部 | 460 | 平均 | 4.5 | 3.0 | 33% | 54~60% |
最大 | 12.8 | 11.3 | ||||
最小 | 1.3 | 0.7 | ||||
橋梁部 | 46 | 平均 | 1.8 | 1.2 | 33% | - |
最大 | 7.0 | 4.7 | ||||
最小 | 1.2 | 0.8 |
※2:出典:「「常磐自動車道警戒区域内における除染モデル実証事業」の結果及び今後の常磐自動車道の除染の進め方について」(平成24年8月31日)
未開通区間(常磐富岡IC~浪江ICの一部約4.1km)
道路構造 | 測定点数 | 区分 | 道路中央の空間線量率(μSv/h@100cm) | (参考)整備工事を含めた低減率※2 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
工事前 | 工事後 | 低減率 | ||||
土工部 | 134 | 平均 | 17.2 | 11.4 | 34% | 64~81% |
最大 | 35.9 | 24.6 | ||||
最小 | 3.8 | 2.6 | ||||
橋梁部 | 38 | 平均 | 10.3 | 4.6 | 55% | - |
最大 | 23.5 | 18.8 | ||||
最小 | 5.3 | 2.0 |
※2:出典:「「常磐自動車道警戒区域内における除染モデル実証事業」の結果及び今後の常磐自動車道の除染の進め方について」(平成24年8月31日)
既開通区間 上り (富岡町)
<測定時期>
除染前:平成24年12月17日~平成25年2月11日
除染後:平成25年3月29日~平成25年7月15日
※横軸の1目盛りは250m、測定は50m間隔で実施
既開通区間 下り (富岡町)
<測定時期>
除染前:平成24年12月17日~平成25年2月11日
除染後:平成25年3月29日~平成25年7月15日
※横軸の1目盛りは250m、測定は50m間隔で実施
未開通区間(1) 上り (富岡町〜大熊町〜双葉町)
<測定時期>
除染前:平成24年12月24日~平成25年2月14日
除染後:平成25年5月15日~平成25年8月26日
※横軸の1目盛りは250m、測定は50m間隔で実施
未開通区間(1) 下り (富岡町〜大熊町〜双葉町)
<測定時期>
除染前:平成24年12月24日~平成25年2月14日
除染後:平成25年5月15日~平成25年8月26日
※横軸の1目盛りは250m、測定は50m間隔で実施
未開通区間(2) 上り (双葉町)
<測定時期>
除染前:平成24年12月21日~平成25年1月7日
除染後:平成25年4月10日~平成25年7月19日
※横軸の1目盛りは250m、測定は50m間隔で実施
未開通区間(2) 下り (双葉町)
<測定時期>
除染前:平成24年12月21日~平成25年1月7日
除染後:平成25年4月10日~平成25年7月19日
※横軸の1目盛りは250m、測定は50m間隔で実施
未開通区間(3) 上り (双葉町〜浪江町〜南相馬)
<測定時期>
除染前:平成24年12月19日~平成25年2月1日
除染後:平成25年5月6日~平成25年7月10日
※横軸の1目盛りは250m、測定は50m間隔で実施
未開通区間(3) 下り (双葉町〜浪江町〜南相馬)
<測定時期>
除染前:平成24年12月19日~平成25年2月1日
除染後:平成25年5月6日~平成25年7月10日
※横軸の1目盛りは250m、測定は50m間隔で実施
除染前後の比較
スライダーを動かすと除染前後の比較写真をご覧いただけます。
今後の復旧・整備工事による低減
・環境省による除染作業の終了を受け、今後、NEXCO東日本により復旧・整備工事が本格化されます。除染モデル実証事業の結果を踏まえ、予定されている路面切削、舗装工事等による空間線量率の低減効果を考慮すると、当初の方針である、3.8µSv/h超~9.5µSv/h以下の区間は概ね3.8µSv/h以下に、また9.5µSv/h超の区間は概ね9.5µSv/h以下に、空間線量率が全区間においてそれぞれ低減すると見込まれています。
なお、常磐自動車道の「除染方針」(以下の参考)の達成状況を確認するため、供用開始前にモニタリングを実施することを予定しています。
【参考】除染方針
(平成24年8月31日報道発表資料『「常磐自動車道警戒区域内における除染モデル実証事業」の結果及び今後の常磐自動車の除染の進め方について』からの抜粋)
[1]3.8µSv/h超~9.5µSv/h以下:
今後の復旧・整備工事で修繕・整備する箇所については、路面舗装等の効果による線量低減が期待されることから、路面上における供用時の空間線量率を概ね3.8µSv/h以下とすることを目指す。
[2]9.5µSv/h超:
合理的な範囲内で効果的な除染を出来うる限り実施し、路面上における供用時の空間線量率を、最も高い箇所においても、概ね9.5µSv/h以下とすることを目指す。
除染工法の解説(常磐自動車道)
除草[法面、将来用地]
本工事における除草は、肩掛け式草刈機等により草の根の上部付近(土中1~2cm程度)まで根入れして刈ります。除草した草、根、泥等を熊手等で集積・回収し、可燃物、不燃物に分離したのち大型土のう袋へ袋詰めします。
高圧水洗浄/回収型高圧水洗浄(スピンジェット工法)[路面、コンクリート側壁]
円盤型の装置内で、回転するアームについた複数のノズルにより面的に高圧水洗浄を行うと同時に、装置内で汚染水を吸引回収します。
拭き取り[高欄、落下防止柵等]
無塵ウエス(キムタオル)等を用い、折りたたんだ各面を使用して丁寧に拭き取ります。再汚染を防ぐため高い位置から低い位置の順に拭き取り、一拭きごとに新しい面に替えます。
混合[将来用地]
比較的汚染密度の高い表土と表土より深い部分の土壌(深さ30cm程度)を混合し表層の汚染密度を希釈する除染方法です。
転圧[将来用地]
転圧ローラ機械(タイヤローラ等)を用いて、混合したあとの土を従前と同じ程度まで締め固めます。
植生基材除去/機械式植生基材除去(セーフティクライマー工法)[法面]
ウィンチ及びケーブルで懸架された小型バックホーの遠隔操作による機械化施工で作業を行います。作業者の被ばく量を低減させながら法面上の放射性物質を含む植生基材(安定のため法面に吹き付けた種子入り土壌)を撤去します。
植生基材吹付[法面]
上記方法により撤去した法面を、通常の植生機材吹き付け工法により種子入り土壌で再度被覆し、法面の安定を図るとともに、その遮へい効果により空間線量率の低減を図ります。
ブラスト/ドライアイスブラスト[路面]
路面に衝突したドライアイスの粒が瞬時に気化する際に生じるエネルギーで汚染物を剥ぎ取ると同時に除去物を吸引回収します。吸引により除去物のみ回収するので、排水処理の必要がありません。
ブラスト/乗用式ショットブラスト[路面]
ブラスト機及びバキューム機を搭載して自走する、乗用のコンクリート及びアスファルト等の路面表面の剥ぎ取り機です。除染前の路面に作業者が立つ必要が無く、単独で作業するため狭所でも作業が可能です。
ブラスト(ハンディタイプ)[コンクリート側壁]
コンクリート面等に鋼球(径1.2mm程度)などのブラスト材を照射するとともに吸引回収することにより表面を薄く削り取る除染方法です。
- 2014.12.28
- 福島再生Vol.80にて現地の声をお届けしています。
- 2014.03.13
- 福島再生Vol.61にて現地の声をお届けしています。
- 2013.10.24
- 福島再生Vol.53にて現地の声をお届けしています。
- 2013.03.01
- 除染活動レポート(常磐道除染)を掲載しました。