東日本大震災に伴う原子力発電所の事故によって放出された放射性物質による環境の汚染が生じており、これによる人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減することが喫緊の課題となっています。 こうした状況を踏まえ、平成23年8月30日に「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(平成23年8月30日法律第110号。以下、「放射性物質汚染対処特措法」)が公布されました。(平成24年1月1日に全面施行)
また、平成23年11月11日には放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針が閣議決定され、環境の汚染の状況についての監視・測定、事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理、土壌等の除染等の措置等に係る考え方がとりまとめられました。これに基づき、事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減するため、放射性物質による汚染の除去等の取組を進めることとされました。
放射性物質汚染対処特措法においては、除染特別地域と汚染状況重点調査地域が規定されています。除染特別地域は、警戒区域又は計画的避難区域の指定が受けたことがある地域が指定されており、同地域では、国が除染の計画を策定し、除染事業を進めることとしています。また、年間の追加被ばく線量が1ミリシーベルト以上の地域を汚染状況重点調査地域と指定することとしています。指定された市町村では、年間の追加被ばく線量が1ミリシーベルト以上となる区域について、除染実施計画を定め、除染を実施する区域を決定することとしています。
地域指定要件を定める省令については、平成23年12月14日に公布しました。本省令を踏まえ、平成23年12月28日及び平成24年2月28日、除染特別地域として11市町村(4市町村は一部地域)、汚染状況重点調査地域として104市町村を指定しました。汚染状況重点調査地域については、5市町村の指定を解除し、平成26年11月17日現在指定されている市町村は、99市町村となりました。
土壌等の除染等の措置の基本的考え方
放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針においては、土壌等の除染等の措置については、まずは人の健康の保護かの観点から必要な地域について優先的に実施することとしています。
除染の基本方針
1. 自然被ばく線量及び医療被ばく線量を除いた被ばく線量(以下「追加被ばく線量」という。)が年間20ミリシーベルト以上である地域については、当該地域を段階的かつ迅速に縮小することを目指すものとする。ただし、線量が特に高い地域については、長期的な取り組みが必要となることに留意が必要である。この目標については、土壌等の除染等の措置の効果、モデル事業の結果等を踏まえて、今後、具体的な目標を設定するものとする。
2. 追加被ばく線量が年間20ミリシーベルト未満である地域については、次の目標を目指すものとする。
ア 長期的な目標として追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下となること。
イ 平成25年8月末までに、一般公衆の年間追加被ばく線量を平成23年8月末と比べて、放射性物質の物理的減衰等を含めて約50%減少した状態を実現すること。
ウ 子どもが安心して生活できる環境を取り戻すことが重要であり、学校、公園など子どもの生活環境を優先的に除染することによって、平成25年8月末までに、子どもの年間追加被ばく線量が平成23年8月末と比べて、放射性物質の物理的減衰等を含めて約60%減少した状態を実現すること。
これらの目標については、土壌等の除染等の措置の効果等を踏まえて適宜見直しを行うものとする
平成25年9月10日公表
特措法の施行のための財政措置
特措法の施行のための予算(環境省要求分)として、平成23年度第3号補正予算において2,459億円、平成24年度当初予算において4,513億円、平成24年度東日本大震災復興特別会計特第1号補正予算において104億円、平成25年度当初予算において6,095億円、平成25年度第1号補正予算において804億円、平成26年度当初予算において4,924億円、平成27年度当初予算において6,248億円、平成27年度第1号補正予算において783億円、平成28年度当初予算において5,224億円が措置されています。(平成28年7月末現在)