除染モデル実証事業とは
平成23年度に内閣府が(独)日本原子力研究開発機構福島技術本部に委託し、高線量地域における除染の効果的な実施のために必要となる技術等の実証試験のために行われた事業です。
その結果、除染によって相当程度の空間線量率を下げることができた一方、現在の除染技術には限界もあることがわかりました。これらの成果を、今後の除染計画の立案や除染作業に活用していきます。
結果概要
面的除染の効果(モデル事業の結果)
- ● 30mSv/年(5.7μSv/h)程度の区域:除染により20mSv/年(3.8μSv/h)未満に低減。
- ● 40mSv/年(7.6μSv/h)を超える区域:除染により4~6割程度低減。20mSv/年は下回らなかった。
- ● 除染前の空間線量率が高いほど除染の効果が高い傾向にあり、低いほど限定的。
表 モデル事業の結果(抜粋)(土地利用区分は「宅地及びその周辺」)
除染対象地区 | 除染方法 | 除染前平均値 (μSv/h) |
除染後平均値 (μSv/h) |
平均空間線量率 除染率 |
---|---|---|---|---|
大熊町 | 庭の除草、表土剥ぎ、 屋根や壁の拭き取り等 |
11.5 | 3.9 | 66% |
浪江町 | 庭の除草、表土剥ぎ、 屋根や壁の拭き取り等 |
10 | 5.7 | 43% |
富岡町 | 表土剥ぎ、高圧洗浄、 舗装切削、ブラスト処理等 |
7.9 | 4.2 | 47% |
浪江町 | 庭の除草、表土剥ぎ、 高圧洗浄等 |
5.7 | 2.6 | 54% |
飯舘村 | 庭の除草、表土剥ぎ、 高圧洗浄等 |
3.6 | 2.2 | 39% |
川俣町 | 庭の除草、表土剥ぎ、 水洗浄、ブラッシング等 |
3 | 1.7 | 43% |
葛尾村 | 庭の除草、表土剥ぎ、 屋根の洗浄、壁の拭き取り等 |
1.7 | 1.3 | 23% |
南相馬市 | 庭の除草、表土剥ぎ、 高圧洗浄、ブラッシング等 |
1.3 | 1.1 | 19% |
出典:「警戒区域、計画的避難区域等における除染モデル実証事業 報告の概要」
平成24年3月 内閣府原子力被災者生活支援チーム
繰り返し除染の効果(技術実証事業の結果)
- ● 同一箇所を同一の方法で除染し続けた場合、除染処理の時間が一定の時間に達すると、それ以後はほとんど効果が上がらない。
- ● この理由の検証は必要だが、同じ除染処理を繰り返しても、さらなる除染効果はそれほど期待できない。
除染の対象(宅地、道路など)ごとの分析結果など、より詳しい結果については、こちらをご覧下さい。
図 処理時間による空間線量率※2の変化
出典:「平成23年度除染技術実証試験事業(概要)」(独)
日本原子力研究開発機構 福島技術本部
※1 圧縮エアを用いて、水と研磨剤の混合液を高速で噴射し
金属などの表面を洗浄する技術
※2 鉛により遮へいした高さ5mmの測定値