令和6年3月29日掲載
福島県西郷村について
西郷村は福島県南端、西白河郡の北西に位置し、東は東北本線、東北新幹線、東北自動車道を隔てて白河市と隣接しています。西には日光国立公園、那須連山の甲子山が美しい姿を見せています。西郷村は、この東斜面に広がる白河甲子高原地帯に位置する“高原の村”。村の中央を阿武隈川とその支流が貫流し、流域の随所で美しい渓谷美を形作っています。また温泉や湧き水も多く、自然環境にとても恵まれた地域です。
西郷村の除染
西郷村では、平成23年12月に「西郷村除染計画(第1版)」を策定し、同年12月28日に汚染状況重点調査地域の指定を受けました。これにより、実施計画に基づく除染作業を平成29年3月に完了しました。仮置場の設置にあっては、地権者と地域住民の理解を得て設置し、安全に除去土壌等を保管することができました。令和4年7月には、保管した除去土壌等全量の国の中間貯蔵施設への搬出が完了しました。
西郷村の自然
村の西側は日光国立公園の一部を成す那須山系三本槍岳(1,917m)、旭岳(1,835m)などの山々が連なり、太平洋と日本海の分水嶺となっています。この稜線がほぼ西側境界で、斜面にはブナ、ミズナラ、コナラなどの原生林があり、里山の雑木林と合わせれば村土の半分以上を山林が占め、豊かな水を涵養します。山麓には、アズマシャクナゲや本村の花であるヤシオツツジが開花時には季節を飾ります。本村を源流とする阿武隈川とその支流を含む7本の河川が東西に貫流しており、地形上大変に水に恵まれた“高原の村”です。その自然景観は四季折々に美しく、200年程前の白河藩主松平定信公が絶賛したといわれる「楽翁渓(らくおうけい)」や、源流が織り成す変化に富んだ様々な滝・雪割渓谷などがあり、川沿いの新甲子・西の郷遊歩道、親水公園とともに観光客や地元の人々の憩いの場となっています。
甲子温泉
標高約900mの位置に湧出する名湯。1384年の甲子(きのえね)の年に発見されたことから、この名が付けられました。かの松平定信公が好んで湯治したという名湯です。
新甲子温泉
上流の甲子温泉から1961年に引き湯して開かれた標高800mにある温泉地。現在は豊富な湯量を誇る自家源泉が自慢の湯宿もあります。
あぶくま温泉
地下1500mから汲み上げたアルカリ性単純温泉の湯が自慢の温泉。阿武隈川のせせらぎが聞こえる岩造りの露天風呂やサウナ、薬湯などいろいろなお湯が楽しめます。
西郷村の歴史
軍馬補充部白河支部
明治時代、軍馬は海外に比べ著しく劣っていました。その強化のため、陸軍は全国に軍馬補充部を配置し、西郷村にも白河支部が置かれました。軍馬補充部白河支部の最盛期には西郷村の面積の3分の1を軍馬補充部の用地が占めています。また、軍馬補充部で働く人々はほとんど西郷村民であり、明治から昭和初期にかけて西郷村の農林業・牧畜業だけでなく、経済全体に軍馬補充部は影響を与えていました。
雪割橋と川谷開拓
西郷村の川谷地区では終戦から間もなくの昭和20年10月に人々が入植し開拓が始まりました。川谷地区は学校、医院、郵便局、鉄工所や製材所など様々な施設が作られ、独立した一つの町として機能するようになっていました。翌年、川谷地区の反対岸にある由井ヶ原地区でも開拓が始まります。しかし、両地区の間にある阿武隈川の渓谷は切り立つ崖で、ここを渡るのは命がけでした。これを解消するために架けられた橋が雪割橋です。
西郷村の文化
上羽太天道念仏踊
県指定の重要無形民俗文化財の「上羽太天道念仏踊」は、毎年、田植え終了後の6月第1日曜日に五穀豊穣を祈願するとともに、地区の交歓和合と慰安を兼ねて行われています。踊りは、“上げ念仏”と呼ばれる太鼓を叩きながらの歌い手と、“下げ念仏”を唱えながら踊る踊り手との構成で豪快な躍動感をみる人に与えます。
西郷村の食
阿武隈の源流からの清らかな水と、甲子高原が生みだす寒暖差のある気候の西郷村では、野菜や果物などの農産物はじめ、地元の食材を使った加工品なども楽しめます。
高原じゃがいも
火山灰の多い土と寒暖差の大きい気候の西郷村川谷地区で育てられた高原じゃがいもは、でんぷん含有率が高く、甘くてコクがあるのが特長です。
ポテトまんじゅう
西郷村特産のじゃがいもに、高原牛乳とチーズ、バターを加えて練り合わせたポテト餡を、皮に包んで蒸し上げた西郷村名物です。
阿武隈川メイプルサーモン
林養魚場で品種改良され、限りなく自然に近い条件下で生育される純国産のサーモン。独自の生育法で育てたメイプルサーモンは身の締り、脂の乗り具合が良く、臭みがなく美味です。
大豆製品
西郷村に古くから栽培されている(にしごう在来)品種の大豆「にしごう」。ここだけでしか手に入らない貴重な農作物です。枝豆で食べるとまるで栗のように甘く濃厚な味が特長です。