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除染活動レポート

vol.132

2016年10月15日・16日

「ONEふくしまステージイベント
&ブース出展in福島フェス2016」
~六本木ヒルズで開催~

~福島の再生を目指すONEふくしま「福島の魅力、最新フクシマ学」をテーマに、福島の今をよく知る立命館大学准教授の開沼博氏とタレントのはるな愛さんが、ONEふくしまステージでトークショーに出演~

福島の再生を目指す「ONEふくしま」は、10月15日(土)と16日(日)に、「福島フェス2016」(会場:六本木ヒルズアリーナ、主催:福島フェス実行委員会)にて、「福島の魅力、最新フクシマ学」をテーマに「ONEふくしまステージイベント&ブース出展in福島フェス2016」を開催しました。

「福島フェス2016」には、両日にわたり、福島のおいしいものや伝統工芸品などが大集合。福島関連のブースがおよそ30店舗ならんで、来場者は2日で延べ24000人にのぼり、夜20時まで盛り上がりました。会場にはステージが用意され、地元アーティストのライブコンサートや、福島の伝統的なお祭りのお囃子や踊りも披露され、にぎやかにとり行われました。

初日の15日(土)に開催した「ONEふくしまステージイベント」では、福島の復興や原発の状況などについて積極的な情報発信に取り組んでいる立命館大学准教授の開沼博氏と、タレントのはるな愛さんをゲストに迎えてのトークショーを行いました。


「ONEふくしまステージイベントin福島フェス」でのフリーアナウンサーの高橋万里恵さん、タレントのはるな愛さん、立命館大学准教授の開沼博氏


ONEふくしまブースの福島再生の応援メッセージ前のはるな愛さんと開沼博氏


2日間で24000人の方が来場


福島県会津地方の郷土玩具「あかべこ」の絵付け体験の様子

「ONEふくしま~福島のいまと未来~」
当日の様子は、JAPAN FM NETWORK 38局にて放送されました。

TokyoFMポッドキャストはこちら

「福島フェス」のトークイベントの様子を交えながら、福島のいまと未来について考えていった番組の中から、アナウンサーの高橋万理恵さんと開沼博さんとによる主なQ&Aを紹介します。

番組内での主なQ&A

※Q質問者:高橋アナウンサー / A回答者:開沼氏

Q

福島の食というと「安全性が気になる」という方もいらっしゃるかもしれません。どのような検査が行われているんでしょうか?


A

まずお米に関しては、全量全袋検査という検査を行っています。収穫された年間1000万袋を超える米の検査をするもので、これはスーパーなどお店で売っているものだけではなくて、自分の家で食べるお米、自家消費米といいますけれども、こういったものもふくめて安全性をどこよりもチェックしています。ですが、残念ながら、こうした取り組みがあるということが知られていないということがあるので、より多くの人に知ってもらいたいと思います。
他にも、果物や野菜、魚など、農産物や水産物も放射線の検査をやっています。福島県内はもちろん、全国のお店で売られている福島県産品は、すべて安全性が確認されているものなんですね。
農地は、除染をするなど、いろいろな対策をいち早く行ってきました。果樹園なども、桃の話などもクイズで出ましたが、とても早く再開できる状態になったのは、こうした除染などの対策をしてきたからなんですね。


Q

除染というのはどの程度進んでいるのでしょうか?


A

除染というのは、国が計画を立てて除染を行ったところ、市町村が計画を立てて行うところの両方があるんですが、いずれも、当初立てた除染計画は本年度ですべて完了するということになっています。
とはいえ、除染をしたけれども線量が高いところとか、まだ細かなフォローがいろいろ必要なんですね。あるいは、あまりにも線量が高いところ、これは帰還困難区域といいますが、ここについてはとりあえず優先順位を下げて、これまでは除染をしてきませんでしたが、こうしたところも人が帰ることができるように、これから除染をしていこうということになってきています。
そういう意味では、各市町村が次のステージに向けていろいろな調整をしていくという段階に来ています。


Q

除染で取り除かれた土や草木などはどうなるんでしょうか?


A

除染は放射性物質を取り除いて、それを「遠ざける」ようにするということなんですが、また「遮(さえぎ)る」ということも重要なんですね。この「遮る」というのは、地面の下に埋めて、厚さ30㎝とか50㎝とかの土で覆(おおい)ます。30㎝の土で覆うと放射線が97.5%カットされる、50㎝だと99.8%の遮蔽(しゃへい)効果がある、というふうに言われています。ですから、9割以上、土で覆うことによって遮ることができる。こうしたことで、「遠ざける」ということをやているんですね。
現状では、市町村内に置かれた、仮置場といいますが、一時的な保管場所にまとめて置いていたりする、あるいは自宅の庭に埋めて保管しているパターンもあります。いずれにしても、こういったものを今後どのようにしていくのかということも重要な論点です。


Q

テレビや新聞なんかで、福島県の復興における大きな取り組みとして中間貯蔵施設の整備ということばを見たり聞いたりするんですが、これはどういうものなのでしょうか?


A

放射性物質をまさに遠ざけて、それをどういうふうに管理するかというところで、土などを中間貯蔵施設に運んで集中して保管するということなんですね。
これについては、ニュースをよく追いかけている方など詳しい方がいるかも知れませんが、中間貯蔵施設の建設用地の取得が「遅れている」「進んでいない」という報道もよくあるんですね。確かに、なかなか計画通りには進まない部分もありましたが、発表された数字を見ると、面積ベースで、中間貯蔵施設を建設するための土地の地権者のおよそ9割以上の方が特定できていて、さらに「調査をしていいよ」という調査の許諾をしている方も7割近くにまで達しているという現状があります。
この建設用地の取得というのは簡単ではないんですね。というのは、そこに住んでいたほとんどの方はいま避難しています。この避難先というのは、福島県はもちろん全国にあるわけなんですね。ちりぢりになっている方たちのお宅をちゃんと個別に訪問をして、いまどういう状況で、庭に木が一本一本ありますね・・・というようなことを厳密に調査をした上で、交渉をしているというのが現状なんですね。


Q

福島全体では観光客が震災前に近い水準で戻ってきているとのことですが、まだ回復していない面もあるということでしょうか?


A

震災前に比べて、88%までは回復してきているんですね。去年は「ふくしまディスティネーションキャンペーン」という、福島県にみんな観光にいこうよというキャンペーンなんかによる効果もありました。また、スパリゾートハワイアンズは、むしろ震災前よりもお客さんが1割増えてるんですね。
ただし、回復していない状況としては、残念ながら大きく分けて二つあります。一つは、修学旅行で来る子どもたちの数。もう一つは外国人の観光客です。
修学旅行の方は、まだ半分ぐらいしか戻ってきていない状況ですね。福島は関東からも近くて、震災前は関東から修学旅行の一環で来て、たとえば会津若松市に行って、お城を観るとか、農業体験するとか、そういう動きが盛んだったんですね。ところが震災後は、震災前と同じように「福島に行きましょう」というと、「それはどうなんだ? 福島はまだ危険なんじゃないのか?」という親御さんの声とかがどうしても出てきてしまう。そうすると、学校側では福島以外にも修学旅行に行く場所はあるわけだから、敢えて福島に行かなくてもいいんじゃないのか・・・ということで、それ以降もずっと福島に来なくなってしまうということがあるんですね。
もう一つが、外国人の観光客の方です。震災前に福島に来て宿泊していた方は、年間で9万人近くいらっしゃいましたけど、震災の翌年には3万人を割り込んだんですね。で、直近の観光庁の2015年の発表でも、外国人の延べ宿泊者数は5万6千人余りと、震災前の9万人に比べると6割ちょっとの水準であるということなんですね。日本に外国人の方が非常に多く来るようになってきているというのがここ数年の動きですから、福島にももっともっと来てもらえるようになればなと思います。


Q

海外の方にも、情報が届きつつあるのかな、と思います。ですが、海外にももっと情報発信していくことが重要ですよね?


A

そうですね。正しい、正確な情報をもっともっと発信していくということが重要だと思います。
たとえば、空間線量ですね。実際にその場所に立っていて受ける放射線量ですが、実は、海外の方が、福島県内各地よりも空間線量が高い場所も普通にあったりします。
これについては、福島の県立福島高校というところが、スーパーサイエンスハイスクールというのに指定されていて、これは科学について先端的な取り組みをしなさいという高校なんですね。ここの生徒たちが、福島県内外と海外の空間線量の測定、比較をしました。これを学者の論文が載るような海外の学会誌に発表して、これは素晴らしい研究成果だと評価されています。そういった数字をきちんと見ていくということがますます必要なのかなと思っています。


Q

福島というと農業や漁業など一次産業が盛んというイメージがありますが・・・?


A

そうなんですよね。1次産業と2次産業と3次産業の就業者数はどのぐらいでしょう?というのは、いろいろなところでよくクイズに出します。すると、1次産業は、福島県の場合だと、3割ぐらいかな、6割ぐらいかな・・・と答える方が多いんですが、実際にはだいぶ違っています。1次、2次、3次の割合は、1対3対6。つまり、1次産業の就業者の数がだいたい1割未満ぐらいなんですね。なので、むしろ、2次産業、3次産業が福島の強みをこれからつくっていくという部分にも注目してもらいたいなと思います。
特に、福島は、震災前からここ10年くらいは、医療機器に注力してきて、日本のなかでも医療機器といったら福島であるという、ブランドも、実績も出てきていたりします。
こういうベースもありつつ、震災後は、廃炉に関する技術をどのように集約していくのかということが重要になってきているんですね。これまでは、復興や除染というものがありました。これからは廃炉という非常に困難な壁が目の前にあるわけですが、そのなかでいかに新しい技術を開発していくのかということが重視されていて、新しい産業が生まれる兆しも出てきているということなんですね。


Q

高齢化や担い手不足など、福島でいま起こっていることは、これから高齢化社会を迎える日本のモデルケースともいえるのでしょうか?


A

そうですね。日本自体を、高齢社会などもふくむ課題先進国であると見たときに、その日本の中でも、福島はそうした課題先進国の中の課題先進地であると言えると思います。
急速な少子高齢化が進み、過疎化には避難の問題も関わってきているし、急に人がいなくなる地域が出てきたり、後継者が不足するような産業も増えていく。残念ながら、福島は、震災によって、どこよりも早く、ほんとうは20年、30年かけて起こる変化を、2、3年で体験してしまった。だからこそ、できることがあるんじゃないのかというのが、課題先進地としての福島としての新しい道なんですね。
産業だけではありません。街のデザインとか、行政の仕組みをどういうふうにしていくのか・・・。住民がアイデアを出し合いながら、満足した地域のかたちを模索していく。これが、いまの福島に求められていることであり、実際に小さな芽が出つつあることなのかなと思います。


Q

最後に、開沼さんから番組をお聴きの皆さまに、一言お願いします。


A

福島のことを知りたいとか、応援したいとかいう方が、だけど、何をやったらいいのかわからないというときに、やれることというのは簡単なんですよね。
要は、「買う」「行く」「働く」・・・この3つだけだと思っています。そんな難しいことではないです。肩ひじ張らずに、日常生活のなかで、なにか福島のものを買ってみようかなとか、なんか時間あったから行ってみようかなとか、あるいはボランティアでもなんでもいいんですが、仕事のついででも働いてみようかな福島のためにとか・・・、そういったかたちで接点を持ってもらえればなと思います。
福島の話は、どうしても難しそうだな、面倒くさそうだなとかという方こそ、数字やデータを見ながら、誤解や偏見のないような向き合い方を、日常生活のなかで続けていってほしいなと思います。

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