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気まぐれ茶屋ちえこ 佐々木 千栄子 さん

No.12

インタビュー:2020年10月 飯舘村

お父さんがつくった思い出のある場所だから 戻ってやりたかったんです

プロフィール

佐々木 千栄子(ささき ちえこ)さん
気まぐれ茶屋ちえこ店主

2004年に飯舘村で採れる山菜や凍み餅、漬物など地産地消の農家レストランをオープン。翌年には飯舘村が福島県第一号の『どぶろく特区』に認定されたのを契機に製造免許を取得し、現在もどぶろく製造・販売に取組む。

佐々木 千栄子(ささき ちえこ)さんの写真

こんなお話を伺いました!

昔の飯舘での暮らしは山仕事と農業の毎日でした。春から秋までは農業で、いま、この茶屋としてやっている建物は、葉タバコの乾燥に使っていたものです。冬は山仕事となり、所有している山に加えて国有林の払い下げというものがあって、主にドングリになるコナラやクヌギなどの広葉樹でした。これらを切り出して薪、炭を作って販売していました。冬の現金収入です。芝刈りのことをこの辺では「芝まるき」といって、これも冬の重労働でした。あんまり寒いときには落ち葉の中に入って暖を取っているうち眠ってしまったり(笑)。

農家レストランの写真
葉タバコを乾燥させる倉庫を改装した
農家レストラン

昔の飯舘の山仕事や農作業などを語っている写真
広々とした空間の店で、
昔の飯舘の山仕事や農作業などを語る

アザミの仲間のオヤマボクチの写真
アザミの仲間のオヤマボクチ

甘い砂糖醤油味の凍み餅の写真
甘い砂糖醤油味の凍み餅

山仕事で木を切り出したあとには、ゴンボッパ(オヤマボクチ)が生えてきます。凍み餅の原材料になる葉っぱでヨモギじゃないんですよ。木を切り出す場所が毎年変わり、ゴンボッパもそれにつれて場所が変わっていきます。いまは、そんな森の営みがなくなってしまったので、畑で栽培したものを使っています。凍み餅づくりはすごく手間がかかります。5月に収穫して、煮たり乾燥させたりした葉っぱを餅米と混ぜて一晩で一気に凍らせます。-4℃以下にならないとだめで、この辺では二十四節気の小寒の頃です。

どぶろくは、震災以降、復活してからずっと造り続けています。県内初の認定時の苦労を考えると、やめたらくやしいからね(笑)。道の駅などでも販売して造った分だけ売れて人気があるんですが、造れる量に限りがあります。

これまで、どぶろくや凍み餅を目当てに、近くだけでなく県外から訪ねてくる人もいました。今年は新型コロナの影響でいろいろと大変な状況ですけれど、予約制に切り替えて対応しています。来た人が穏やかな阿武隈の山に囲まれた風景の中でゆっくり過ごせる場所、集える場所としてこれからもできる限りやっていくつもりです。

インタビュー時の映像

~ 2019年10月27日ふくしま“みち”さがし体験プログラム訪問時 ~

2019年10月27日ふくしま“みち”さがし体験プログラム訪問時の写真 1

2019年10月27日ふくしま“みち”さがし体験プログラム訪問時の写真 2

飯舘村の佐須で震災前から営業していた「気まぐれ茶屋 ちえこ」が2019年5月に再オープンしました。以前のように気軽に人が集まり憩える場所にしたいとの思いから、再開を決められたとのことです。

店では火・水・木曜日の営業で日替わりのランチが提供されます。訪問当日は、赤飯に味噌汁、煮物など4種の手料理に、デザートとして昨年に漬けた梅で作ったゼリーでした。別注文の凍み餅は自慢の一品。一月の小寒の時期に、凍みらせる・干すを繰り返して自然に乾かして作る保存食で、昔から飯舘で作られていたものです。黒っぽい緑色に見えるのは、練り込んだ「ごんぼっぱ」で、独特の弾力と風味がでます。この植物は標準和名でオヤマボクチ、アザミの仲間で5月に収穫してから、煮たり乾燥させたりして、材料として使うまで大変な手間がかかります。

昔は山と人の関係が密接で、広葉樹が炭焼きなどの原料として切り出されると、その後にオヤマボクチが生えてきて、これを収穫して食材として使っていたそうです。

当日は地元の方などが昔の飯舘の畑仕事や山仕事などを懐かしがって語られていました。佐々木さんは、また気軽に立ち寄ってゆっくり昼を過ごしてね、と重ねて話されていました。

気まぐれ茶屋ちえこ 情報

気まぐれ茶屋ちえこの写真 1

気まぐれ茶屋ちえこの写真 2

住所:福島県相馬郡飯舘村佐須字佐須200番地
電話:0244-42-1303(要予約)