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パート4 第5回 『エベレストの放射線量はどれくらい?』

第5回

「エベレストの放射線量はどれくらい?」について なすびの解説

何かしらの情報で、既にご存知の福島県民の方もおられるかと思われますが、私は今年の5月に、四度目の挑戦で世界最高峰のエベレスト登頂を果たしました。
さて、なぜここでエベレスト登頂の話題に触れたのかと言いますと、実は、日本を発ってエベレストを登頂して帰国するまでの間、私は個人線量計を身に付けていまして、今回はその個人線量計のデータを解析してもらうことができたからでした。

そのデータからは、エベレスト登頂時の放射線量が0.40マイクロシーベルト/hとの結果が出ました。この値については、岩石から出るガンマ線と、宇宙線は標高が高くなれば高くなるほど量が多くなるので、その宇宙線の影響で被ばく線量が高くなっているとのことでした。

また、今回は、エベレストだけでなく、県外や海外と福島の放射線量を比較するために、福島高校のスーパーサイエンス部の方からも話を聞くことになりました。
福島高校スーパーサイエンス部は、放射線の勉強や、私と同じように個人線量計を身に付け、個人被ばく線量の測定等をしておられます。
スーパーサイエンス部が、2014年に福島県内6校、県外6校、さらにはフランス、ベラルーシ、ポーランドの高校生に協力してもらい、個人被ばく線量の調査をして、その結果を比較してみたところ、どの地域でも被ばく線量に大きな差は見られず、福島の高校生も他の地域の高校生と同じような被ばく線量で、これは元々、福島は他の地域と比べて自然放射線量が低かったからで、原発事故の影響はあったものの、福島県内の高校生だけが高い放射線量を被ばくするという事にはならなかったとのことだそうです。

今回は、私がエベレスト登頂時に身に付けていた個人線量計のデータを調べてもらい、エベレストでの個人線量が、宇宙線などの自然放射線の影響で、日本の平均的な放射線量よりも高いことが分かりました。
さらには、福島高校スーパーサイエンス部の個人被ばく線量の調査結果から、世界的なデータと比べた時の福島で受ける放射線量について、より客観的に知ることもできました。

そして今回、何よりの収穫は、福島の高校生たちが、福島の放射線量のことを客観的にみるための調査をちゃんとしていて、今の福島の現状をしっかり見つめようと努力していることが分かって、とても心強く感じられました。

今回番組に登場した用語解説

放射線量
自然界にもともとある放射線や、福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質による放射線を合計した量の意味となる。
個人線量計
装着している期間に受けた外部からの被ばく量(積算線量)を測る測定器。測定器の中にあるガラスが受けた放射線の量を測るバッジ式個人積算線量計や、1分単位や1日単位で放射線の量を測ることができる電子式個人積算線量計などがある。
ガンマ線
放射性物質から出る放射線には、アルファ線、ベータ線、ガンマ線がある。ガンマ線はいろいろな物を通り抜ける性質が最も強く、これを止めるには、鉛や厚い鉄の板などが必要となる。今回の原発事故で問題となっているのは、ほとんどが放射性セシウムから発せられるガンマ線である。
宇宙線(自然放射線)
宇宙には誕生時からたくさんの放射線が存在し、今でも地球に降り注いでいる。また、地球が誕生した時から大地や空気中に放射性物質が存在し、それを体内に取り込んだ植物や動物体内にも放射性物質がある。私たちは日常的に、宇宙からの放射線、空気中のラドンなどから出る放射線などの自然放射線を受けている。自然放射線からの被ばく実効線量は、世界平均で年間2.4ミリシーベルト、日本では年間約2.1ミリシーベルト(※)。(※)東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響は含まれていない。
個人線量
個人線量計を使って測定した個人の被ばく線量のこと。
自然放射線量
宇宙には誕生時からたくさんの放射線が存在し、今でも地球に降り注いでいる。また、地球が誕生した時から大地や空気中に放射性物質が存在し、それを体内に取り込んだ植物や動物体内にも放射性物質がある。私たちは日常的に、宇宙からの放射線、空気中のラドンなどから出る放射線などの自然放射線を受けている。自然放射線からの被ばく実効線量は、世界平均で年間2.4ミリシーベルト、日本では年間約2.1ミリシーベルト(※)。(※)東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響は含まれていない。

第5回収録を終えてなすびの「さらなるギモン」とその回答

ギモン

今回は、福島県内、県外、海外と、その放射線量を比較して、福島県内の放射線量を客観的にみることができましたが、海外には自然放射線量が比較的高い地域があり、そういった地域での放射線量やそれに伴い健康被害などが出たりしているのかを知りたいと思いました。

除染情報プラザ(現 環境再生プラザ) アドバイザー青木さん

インド南西のケララ地方は、高自然放射線地域と呼ばれていますが、1990年に開始されたケララ州地域がんセンターの調査によれば、1990年から2005年末までに実施した69958人分のがん調査結果から外部被ばく線量の低い地域と高い地域での有意な差は認められなかったことが報告されています。

この調査結果の意義は、実際に長期間継続的に、他と比較すると高いガンマ線外部被ばくを受けて生活する多数の人々の放射線影響を解明したことにあり、今、福島で置かれている状況での健康影響について知ることに役立つデータだと言えます。

よくわかりました。青木さんありがとうございました!

第5回撮影時の様子写真ギャラリー

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