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No.10
インタビュー:2020年9月 川内村
井出 茂(いで しげる)さん
川内村商工会 会長
川内村で生まれ育ち、株式会社小松屋として「小松屋旅館」と「蕎麦屋・蕎麦酒房天山」を家族で営む。
村議会議員も務め、避難指示解除後の地域の課題と再生に、最前線で向き合い続けている。
川内村では交流人口、定住人口が増えるように、みんなであれこれ考えて取り組んでいます。例えば、定住者には切れ目のない子供支援などいろいろと補助があり、学校は中学までの9年間、教室を学年の区切りのないものにして交流を容易にしたり、コミュニティスクールとして社会に解放され、地域とのつながりを大切にしています。今年はパン屋ができ、来年はワイナリーができる予定です。地元の住民だけでなく来た人が楽しいところにしていきたいです。
川内村と地域のこれからについて熱く語る井出さん
商工会が運営する「あれ・これ市場」
で売っていた白ナスとインゲン
商工会は発足から18年目になりますが、健康、地域資源、郷土料理を3つのキーワードと考えて活動しています。「身土不二」という言葉がありますが、川内村には昔からおいしい水、味がよい高原野菜、自然からの恵みの山菜やキノコ、これらを活かした伝統料理があります。「かえるの宴」という日本酒を造り始めて、ワインとこうした食べ物をマリアージュして、人を呼び込んでいきたいです。おいしいものがあって、ゆったり過ごすことができる空間と時間が川内村の宝です。
個人的にやりたいと思っているのは、地域資源としての古民家を活かして農家カフェができたらいいなーと。農家や近所のおばちゃんたちが作った農産物や十人十色のバラエティに富んだ漬け物などをそこで売って、それらをアレンジした料理が食べられ、来た人がそこで料理を教わることができる、などいろんなアイディアがわいてきますね。
ここは浜通りや中通りのどちらにも接しているのですが、それぞれの地域で郷土料理や文化、祭りなどの伝統行事など多様な魅力があります。川内村だけでなく、広く連携して魅力を発信して人を呼び込んでいけたら、といつも思っています。
川内村と長崎大学、原子力安全研究協会の三者で開設した共同復興推進支援センターを訪問し、川内村における農業の現状についてのお話や食品中の放射性物質の現状についてのお話、川内村で収穫した新そば(2016年当時)の放射能測定を実際に行い、その結果についてのお話などを伺いました。
紅葉が見ごろを迎えていた「いわなの郷」では、共同復興推進支援センターで放射能測定を行った川内村の新そば粉を使ってそば打ち体験しました。囲炉裏を囲んで参加者全員で夕食。打ったそばは、そば打ちの先生こだわりの出汁でいただきました。
住所:福島県双葉郡川内村上川内早渡11-19
電話:0240-38-2265