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No.9
インタビュー:2020年9月 川俣町
蓮沼 昇(はすぬま のぼる)さん
特定非営利活動法人福島県もりの案内人の会 会員
女神山を愛する会 会長
川俣町の女神山をはじめとする森林環境学習の案内人を務める。
阿武隈山地の自然や歴史文化、そして森林からの学びを次世代に伝えるべく取り組んでいる。
女神山を愛する会ができてから32年目になります。会員は最も多いときで60名ほどでした。現在は高齢化などのためその半分ほどですが、里山の素晴らしさや小手姫伝説などの昔から伝えられてきた地域の歴史文化を途絶えさせないよう、会員や地元でいろいろ協力してくれる人たちといっしょにがんばっています。最近では妻と紙芝居を作りいろいろなところで話をしています。
紙芝居
奥様と一緒に
女神山のある阿武隈山地は薪や炭などの森の恵みを利用するなど昔から人の暮らしとの関わりの深い里山です。また、近所の自然を楽しむ場所として子供たちにも遠足などで親しまれていました。震災以降、放射能の不安から里山から足が遠のいてしまいましたが、最近また山を歩く人が多くなっています。
女神山案内図
ぬまちゃん手作りの記念品
子供たちへプレゼントする
最近、学校が自然に親しむ教育を大事にするようになっているようです。森の案内人という福島県が作っている制度がありますが、私はその一人で、9月や10月はいろいろな学校から自然観察などのガイドなどの依頼があって忙しいです。子供たちはとても素直で逆にこちらが気づかされたり学んだりすることもいっぱいあるんですよ。次の世代の子供たちに自然の素晴らしさを伝えていくことが今の使命です。元気なうちはできる限りやっていきたいです。
川俣町は里山がたくさんあるところで、昔から広葉樹のコナラやクヌギを薪や炭、シイタケ栽培の原木として利用、子供たちの遠足などで親しまれてきました。当日は、ふくしま100名山にもなっている女神山を「女神山を愛する会」の蓮沼さんと安齋さんの案内で歩きました。小手姫(おてひめ)伝説がある山のいわれ、植物観察、これまでの山と人との関わりなどの話を聞きながら、2時間の里山歩きとなりました。
阿武隈山地は北から南まで多くの里山がある地域ですが、震災以降、放射線の不安から里山の利用や里山歩きをする人が少なくなり、特に子供たちの足が遠のいています。蓮沼さんらは里山の素晴らしさや地域の文化を次世代に伝えていきたいと日頃から活動されています。
「うつくしまふくしま百名山」の一つで、川俣町で唯一の一等三角点がある。川俣町と月舘町にまたがって独立峰のようにそびえる姿は、名前のごとく「女神」が住む山かと思われる。両町でこの山についての伝説や言い伝えは多く、地域住民にとって心の拠り所となっている。案内板や登山道は整っており、草花など里山の自然が残り、山頂からは吾妻山、安達太良山、福島盆地などが一望できる。
麓には、樹齢400年以上といわれる「秋山の駒ザクラ」があり、4月にはとてもにぎやかになる。木道や休憩所が整備され福島県の緑の文化財にも指定されている。また、近くには同じく緑の文化財の「あすなろ」もある。
毎年4月の第3日曜日に、秋山集会所で式典を行い、揃って登山をしている。