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No.2
インタビュー:2020年7月 田村市都路町
久保 優司(くぼ ゆうじ)さん
森と里合同会社 代表社員
ツリークライミング®クラブ どんぐりの芽 代表
田村市都路町の避難指示解除後に、都路町に移住し、森林組合を経て独立し、林業を営む。
豊かな阿武隈山系の森林を保全していくために、森林整備やツリークライミングの活動に取り組む。
森林は植物だけでなく、様々な虫や獣など多くの生き物の住みかで、多様性の宝庫です。原発事故後、放射線量が高いところに入ることはできませんが、放射線量が低い森林も放置されています、このまま人の手が入らないとだめになってしまう。何かしたいと思い、山と地域の再生を目指して「森と里合同会社」を2019年4月に設立しました。森や人の生活空間の再生を図りながら、地域再生の一旦を担えればと思います。
3年前、都路地域の有志の集まりで、避難指示解除後の地域をどうしていくかをみんなであれこれ考える「都路くっちゃべろう会」を都路の住民と一緒に立ち上げました。これまで、子ども達を対象に、地元(≒自然)の素晴らしいとこと、自然の豊かさ(=多様な命の存在)を知ってほしいと考え、子ども達と桧山を登ったり、行司ヶ沢の川遊びでイワナをつかみ捕り、焼いて、食べたりしています。毎回約30人の子どもが参加しています。
都路は、震災時の避難所が田村市内の1ヶ所であったこともあり、帰還率も高いです。震災後も地域の団結力は落ちていないと感じます。将来的には、地元の元気を子ども達から発信する「子ども版都路くっちゃべろう会」を作り、私たち大人がサポートしたいと考えています。
ツリークライミングは木に登り、自然の中で楽しむアクティビティです。ツリークライミングを通して、子ども達へ「自然の豊かさ」を教えたいと考えています。木に登り、虫を捕まえ、森の生き物の多さを知って欲しいと願っています。自然から、自分で学び、考える力が養われます。福島県内だけで、年間15回ほど開催、参加者数は400人ほどです。
まだ始まったばかりですが、福島大学の先生などと、「あぶくま山の暮らし研究所」に参加しました。長期的な視点で、県内でも広い面積を占める阿武隈山地を取り囲む地域全体の活性化を考える会です。自然は山だけでなく、山の上流から下流へ流れる川、さらに海へとつながっています。広い視野で、福島の自然の豊かさに気づいてもらうために、多くの方に伝えていきたいと考えています。
阿武隈の山は、人と共に生きてきた歴史があります。山の奥深くまで人の手が適切に入っていて、命がとても豊かな森です。私はよそから移住してきたからこそ、地元の人も気づかない阿武隈の魅力が良くわかるんです。
ツリークライミングをやっていただいた目的は、レクリエーションというよりは、自然を大切にする心を育てたい、森林の役割を伝えたいという思いでした。田村と飯舘を流れる川が、今回訪れた請戸に流れています。つまり、田村や飯舘の森がダメになると、請戸の漁業もダメになってしまうということを伝えたかったのです。
参加された皆さんが木と友だちになって、そして私の思いを受け止めていただけたということで、プログラムに組み込んでいただいて本当に良かったなと思っています。
年齢(小学生以上)、性別、体力、体格、障害の有無にかかわらず、誰もが楽しめ、心のおみやげを持ち帰れるツリークライミング。
多くの人に阿武隈の自然に親しんでもらうために体験会や、自分で登って楽しめるようになるための講習会も開催している。
住所:福島県田村市都路町古道字白石175-1
携帯:090-2843-7965
FAX:0247-61-5874
MAIL:gyppf369@ybb.ne.jp
WEB:https://treeclimbingjapan.org/event/events-organizer/dongurinome/