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パート3 第5回 『除染土壌の輸送管理はどうやっているの?』
第5回
「除染土壌の輸送管理はどうやっているの?」について
なすびの解説
福島県では、仮置場などに保管している除染土壌等を中間貯蔵施設の保管場へと運び出す本格的な輸送に先立ち、パイロット輸送(試験輸送)が始まっています。今回は、その輸送管理がどのように行われているのか、いわき市にある輸送統括管理センターに伺い、お話を聞いてきました。
本格輸送では、福島県内全域から大量に除染土壌等を運ぶことになるので、現在は輸送手段の効率性や安全対策の効果等を確認するためにパイロット輸送が行われています。輸送統括管理センターでは、そのすべての輸送物とそれらを運ぶダンプトラックの管理が行われています。
除染土壌等が仮置場から運び出される際は、すべての輸送物の放射線量、中身の種類、重量等の情報を詳細に確認し、搬出直前にはトラック周囲の空間線量率も測定されているとのことでした。
輸送中のトラックの運行状況については、GPSシステムを使って高速道路、一般道を含めてトラックごとの位置情報を60秒ごとに把握しているので、万一の事故の場合には、警察や消防と速やかに連携が出来る形になっているそうです。
また、中間貯蔵施設の保管場に搬入される際も、輸送統括管理センターで確認している搬出時の輸送物の情報と合っているか、すべて照合してから搬入する仕組みになっているとのことでした。
中間貯蔵施設の保管場への除染土壌等の本格的な輸送に先立ち、初期段階としてのパイロット輸送が始まる中、すべての輸送物の情報と運び出すトラックの運行状況など、輸送統括管理センターで一元的に集約され、搬出と搬入の管理がしっかり行われていることがわかりました。
今回番組に登場した用語解説
- 仮置場
- 除染作業で集めた土や草などの除去物を袋に入れて、一時的に保管する場所のこと。
- 放射線量
- 自然界にもともとある放射線や、福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質による放射線を合計した量の意味となる。
- 空間線量率
- 空間線量とは、空間における放射線の量(強さ)で、一般に大気、大地からのガンマ線、宇宙線等が含まれる。単位時間当りの線量を線量率という。
空間線量率についての補足はこちらをご覧ください。
- 中間貯蔵施設
- 除染作業で集めた土や草などの除去物を袋に入れて、一時的に保管する場所のこと。
【中間貯蔵施設に貯蔵されるもの】- 除染に伴い生じた土壌、草木、落葉・枝、側溝の泥等(可燃物は原則として、焼却して、焼却灰を貯蔵)
- 上記以外の廃棄物(廃棄物1kg当たり放射能濃度が10万ベクレルを超えるものを想定。可燃物は原則として、焼却して、焼却灰を貯蔵)
今回のテーマがより分かる
参考資料・動画集
第5回収録を終えてなすびの「さらなるギモン」とその回答
パイロット輸送から本格輸送に移行していく上で、今後どのような取組がなされていくのか、知りたいと思いました。
大量の除去土壌等を輸送する本格輸送に向け、安全かつ確実な輸送を実施できることを確認していくことを目的として、パイロット輸送を実施しています。
輸送実施計画(パイロット輸送)を基に、地域の実情を踏まえて福島県との緊密な連携及び関係機関の適切な役割分担の下、安全かつ円滑にパイロット輸送を実施するとともに、本格輸送に向けた道路・交通対策の実施等の準備を進めてまいります。
パイロット輸送では、以下のような事項を確認・検証しています。検証項目に係る実施方法等については、パイロット輸送を実施しながら柔軟に見直し、追加するなどして、本格輸送に向け必要な改良を実施してまいります。
【パイロット輸送で確認・検証する項目の例】
- 搬出~輸送~荷下ろしに係る各工程の手順、所要時間(大型車両の各路線の走行速度、帰還困難区域の入域所要時間、スクリーニング時間 等)
- 積込場の具体的な要件検討と効率性の確認(積込場に輸送対象物を下ろすことなく直接積み替えることができるか/市町村と環境省においてスムーズに作業分担できるか 等)
- 総合管理システムの検証(改良点の抽出)
- 放射線量や環境項目等の事前評価の妥当性やモニタリング方法の検証
- 道路・交通対策の検証や追加対策の検討(住民や一般の運転者の意見等を踏まえた検討)
第5回撮影時の様子写真ギャラリー
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輸送統括管理センターにて撮影スタート!
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除染土壌の輸送管理について説明する矢野さん
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お忙しい中、みなさんありがとうございました。