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パート2 第3回 『福島県内では食品の安全性確保にどんな取組をしているの?』
第3回
「福島県内では食品の安全性確保にどんな取組をしているの?」について なすびの解説
震災後、福島県産の農産物に対する信頼感について、世間のイメージは厳しいモノになりました。
特に私たちの主食であるお米の安全性や信頼性の確保は、これからの福島県の農業の未来を占う上で、非常に重要です。
今回、福島県の米に対する安全性確保のための取組を確認するために検査場に足を運びました。
まず生産段階では、田んぼの除染について、土の上下を入れ替える「反転耕」や、セシウムの吸収抑制対策となるカリ肥料の散布をしている話を聞きました。
そして、平成24年からは、出荷前に残留放射性物質の有無を調べるために、徹底した「全量全袋検査」を行っているとのことです。
この検査は、県だけでなく市町村やJA、米の集荷業者も一体となり、現在、県内173カ所の検査場で202台の検査機を使って行われているそうです。
私も実際に現場でその検査の様子を見ることができました!
すべての米袋について、10秒程の測定後、その検査結果がパソコンの画面上に表示されます。食品衛生法上の100ベクレル/kgの基準値以下は当たり前として、検出限界50ベクレル/kg未満でも不検出のお米が確実に出荷されていることが確認出来ました。
なお、福島県内全域の検査では、平成24年、25年を通じて、ほぼ100%のお米が基準値以下とのことで、今回お邪魔したJAいいで会津の検査場では、この2年間で全ての米が検査をクリアし、出荷されていると聞きました。
福島の実家ではもちろんですが、東京でも私は福島県産のお米を食べています。
福島県を応援するために、福島県産のお米を食べている面もありますが、単純に地元のお米が美味しいしと思っているから食べています。さらに今回、福島県産の農産物の信頼回復のために着実に努力されている方々にお会いしたこともあり、福島県の農業の復活を心より願っています。
今回番組に登場した用語解説
- 反転耕
- プラウ(耕うん作業等で使用する農器具)を使用し、汚染された表層の土を下層に、下層の汚染のない土壌を表層に置くように土壌を反転させる。反転耕の耕深は30センチメートル を基本とする。ただし、礫が含まれる層等、作土として不適切な土壌が上に来る場合は、十分な除染効果が得られることを確認した上で、耕深を浅く設定する。
- 放射性セシウム
- 「放射線を出す性質」をもつ物質の一つ。今回の原発事故では、主に放射性ヨウ素と放射性セシウムが放出され、そのうち長く残存する放射性セシウム(セシウム134とセシウム137)の影響が、問題となっている。
- 放射性物質
- 「放射線を出す性質」をもつ物質。2011年3月の福島第一原発事故では、主に放射性ヨウ素と放射性セシウムが原子炉から放出され、そのうち長く残存する放射性セシウムの影響が、問題となっている。温泉に含まれているラドンやラジウム、動植物に含まれているカリウムなども放射性物質であり、もともと自然界に存在している。カリウムを多く含まれる食品を食べることにより体内にも取り込まれている。
福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質の状況等についてはこちらをご覧ください。
- カリ肥料
- カリウムを有効成分として含む肥料。
- 全量全袋検査
- 福島県では、福島県内で生産した玄米すべて(全量・全袋)を検査し、食品衛生法に定める一般食品の基準値(100ベクレル/Kg)以下であることを確認し出荷している。※出荷前にすべての米を検査する「全量全袋検査」は、世界で初めての取組みである。
- 食品衛生法
- 食品の安全性確保のために、公衆衛生の見地から必要な規制やその他の措置を講ずることで飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、それを以て国民の健康の保護を図ることを目的とした法律。※食品と添加物などの基準・表示・検査などの原則を定める。食器、割ぽう具、容器、包装、乳児用おもちゃについても規制の対象としている。
- 放射性カリウム
- カリウムは生物に必須な元素で、体内にあるカリウムの量は体重1キロあたり、2グラム程度。そのうち約0.01%が放射性カリウム(カリウム40)である。放射性カリウムは主に細胞の水分の中に含まれていて、筋肉中にはあるが、水分をほとんど持たない細胞脂肪には含まれていない。(筋肉の多い人程、たくさん放射線を出していることになる。)
- ふくしまの恵み安全対策協議会
- 福島県では、東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、農産物等の出荷制限や風評被害などの深刻な影響を受けているため、県が実施している緊急時環境放射線モニタリング検査の充実に加え、産地が主体となった米の全量全袋検査など綿密な放射性物質の検査を実施し、その検査結果を広く提供するため、平成24年5月に生産者団体、流通事業者、小売事業者、消費者団体及び福島県などで構成する「ふくしまの恵み安全対策協議会」を設立した。本協議会では、消費者や流通事業者等の信頼を確保するため、産地の農産物の安全確保のための取組や頑張る姿等を発信している。
今回のテーマがより分かる
参考資料・動画集
第3回収録を終えてなすびの「さらなるギモン」とその回答
ほんのわずかな量ながらも基準値以上の残留放射性物質が検出された米がゼロではない訳ですが、どれ位基準値を上回ってしまっていたのか?産地の特定を含めた、翌年以降の追跡調査も行っているのか?そこの部分が知りたくなりました。
24年産米では71点(総検査点数の0.0007%)、25年産米では28点(同0.0003%)の基準値超過米が発生しましたが、これらはすべて市場に流通させませんでした。
基準値を超過した米が発生した場合、県では生産地を公表するとともに、その発生要因を調査し、必要な対策を講じています。
第3回撮影時の様子写真ギャラリー
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説明を受けるなすび
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全袋検査の様子
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黄金のお米。また、みてね~