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  2. 県外最終処分に向けた取組

① 除去土壌等の県外最終処分について

放射性物質汚染対処特別措置法の2011年11月に閣議決定された基本方針において、除去土壌については、技術の進展を踏まえつつ、保管又は処分の際に可能な限り減容化を図るとともに、減容化の結果分離されたもの等、汚染の程度が低い除去土壌について、安全性を確保しつつ、再生利用等を検討する必要があると示されました。

これを踏まえ、これまでにも閣議決定された基本方針等において、再生利用先の創出等に関し、関係省庁が連携して取組を進めることや、政府一体となって除去土壌等の減容・再生利用等に取り組むこととされています。

除染等で生じた除去土壌等については、中間貯蔵施設で一定期間保管した後は、安全に福島県外で最終処分する必要があります。中間貯蔵・環境安全事業株式会社法においては、除染等の措置に伴い生じた土壌等について、「中間貯蔵開始後30 年以内に福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる」ことが国の責務として明記されています。

除去土壌等の県外最終処分のフロー図

② 福島県外での最終処分に向けた8つのステップ

県外最終処分に向けては、2014年7月の「中間貯蔵施設等に係る対応について」において8つのステップで進めていくことを示しましたが、このうちステップ1からステップ4に該当する研究・技術開発及び最終処分の方向性検討等の取組について技術的な検討を行うため、2015年7月、有識者からなる「中間貯蔵除去土壌の減容・再生利用技術開発戦略検討会」を設置し検討を開始しました。

最終処分に向けた8つのステップ図

③ 最終処分必要量の低減に向けた課題

県外最終処分に向けては、まず最終処分量を低減することが鍵となります。そのためには、中間貯蔵施設に保管される大量の除去土壌等をいかにして効率的に減容処理するか、また、その結果生じる本来貴重な資源である放射能濃度の低い土壌等を再生資材として利用可能とする技術的・制度的・社会的条件をいかに整えるかが課題となります。

④ 中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略

「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略」(以下「技術開発戦略」)は、これらの課題に対する検討会における検討結果を踏まえ、主に減容・再生利用技術の開発、再生利用の推進、最終処分の方向性の検討、全国民的な理解の醸成等について今後の中長期的な方針を提示するものです。

なお、2016年4月に技術開発戦略を策定した後、中間年度である2018年度にそれまでの取組状況等を踏まえ、見直しを実施しました。

除去土壌等の県外最終処分のフロー図

⑤ 除去土壌等の発生量と放射能濃度等

1. 除去土壌等の発生量の見込み

除去土壌等の総発生量の見込みは、約1,330万m3であり、そのうち約1,300万m3が土壌、約30万m3が焼却灰と推定されています(帰還困難区域の除去土壌等は含まない。)。

除去土壌の放射性セシウムの放射能濃度については、約1,070万m3が8,000Bq/㎏以下、約230万m3が8,000Bq/㎏超であると推計されています。

中間貯蔵開始30年後には、放射性セシウムの放射能濃度は、事故当初の4分の1以下に物理減衰し、約1,330万m3のうち約8割超は8,000Bq/kg以下になると推計されています。

※いずれも2018年10月時点における推計値。

2. 除去土壌等の放射能濃度区分や物量

土壌A~Dを以下のとおり定義

  • 土壌A:放射能濃度評価時点で8,000Bq/kg以下であり、再生利用可能な土壌
  • 土壌B:中間貯蔵施設への搬入開始30年後(2045年)までに8,000Bq/kg以下に物理減衰し、再生利用可能な土壌
  • 土壌C:中間貯蔵施設への搬入開始30年後(2045年)までの物理減衰に加え、現時点での高度分級技術(分級+摩砕等)により再生利用可能な8,000Bq/kg以下の砂質土を得ることが可能な土壌
  • 土壌D:土壌Cよりも高濃度である土壌

※表中の放射能濃度区分ごとの物量の推計値については、2018年10月末時点での推計であり、実際にはそれ以前に測定されたデータも含むが、物理減衰を考慮し保守的に推計。

(出典:中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会(第10回)資料4-2別添資料(案)より)

⑥ 基本的な考え方

最終処分が必要となる量を減少させるためには、本来貴重な資源である土壌からなる除去土壌等を何らかの形で利用することが考えられますが、放射性物質を含む除去土壌等はそのままでは利用が難しいです。このため、適切な前処理や汚染の程度を低減させる分級等の物理処理を実施することで放射能濃度の低い土壌等を分離し、用途先で用いられる部材の条件に適合するよう品質調整等を行い、管理主体や責任主体が明確となっている一定の公共事業等に限定し再生利用します。この再生利用の対象となる土壌等の量を可能な限り増やすことにより、最終処分量の低減を図ります。

破袋


分別


品質調整


濃度確認


再生利用

⑦ 除去土壌等の減容化における3つの主要な技術

震災後、活発な技術開発が展開されている状況であり、土壌・焼却灰ともに、現時点で既に多様な減容化技術が存在します。今後は、中間貯蔵施設に貯蔵される膨大な量の土壌等の処理に当たっての、処理能力・コスト面等の検証・向上を図ります。

1.分級
  • 放射性セシウムが土壌のうち細粒分に付着しやすいという特性を踏まえ、土壌を細粒分と砂・礫に分離する方法であり、同様の特性を持つ重金属を分離する技術として従来から多用されている技術です。

2.化学処理
  • 強酸等の溶媒を用いて土壌中の放射性セシウムを溶媒中に溶出させることで土壌からセシウムを分離する方法であり、溶液中のセシウムは吸着剤等で回収します。

3.熱処理
  • 熱により、放射性セシウムを昇華させて分離し、バグフィルターで吸着させ回収します。土壌に反応促進剤を添加するものもあります。

⑧ 中間貯蔵施設内における除去土壌の分級処理システム実証事業

1. 目的

分級処理の各工程において安全性(特に放射線に関する安全性)を確保しつつ、安定的かつ低コストで大量の除去土壌の減容処理を行うことのできる分級処理システム技術を確立することを目的に2018年~2019年度に中間貯蔵施設内において技術実証試験を行いました。

2. 結果概要

除去土壌を、「通常分級処理」で礫(2mm以上)、砂(75µm~2mm)、シルト・粘土(75µm未満)に分離し、その後、通常分級処理で処理した砂にもまだシルト・粘土がついている場合があるので、「高度分級処理」で砂からさらにシルト・粘土を分離する試験を実施しました。
試験の結果、分級による砂・礫の平均除染率は、通常分級では71.5%でありましたが、高度分級では77.9%に向上しました。また、礫、砂に関して、元の土壌と比べて約25%程度まで放射能濃度が低下しました。

中間貯蔵施設内における除去土壌の分級処理システム実証試験

  • 分級処理システムの説明動画をご紹介します。(2020年3月)

中間貯蔵施設内における除去土壌の分級処理システム実証試験

  • 『シリーズなすびのギモン』にて、中間貯蔵施設区域内の分級処理システム実証実験場を訪れ、除去土壌の分級処理について動画でご紹介します。(2019年3月)

土壌分級処理の実証事業って何をやっているの?

⑨ 理解醸成への取組

中間貯蔵開始後30年以内の福島県外での最終処分を実現するためには、再生利用や最終処分に対する全国民的な理解が必要不可欠であることから、関係府省庁、自治体、関係団体、専門家、学術・教育機関、NPO等と連携して情報共有や相互理解を進めつつ、国民に対する情報発信、普及啓発等の取組を地道に、かつ継続して進めます。

1. 情報公開・情報発信等

理解醸成活動の効果測定および今後の活動の参考とするため、除去土壌の再生利用に関する現状の関心、認知度等について全国の20代~60代の男女を対象にWEBアンケート調査を実施しました。

WEBアンケート調査の結果

2. 対話型・参加型の理解・信頼醸成活動

技術開発の進捗に応じ、企業、専門家、学術・教育機関等を対象に技術実証試験の評価結果の公開や技術関連イベントを通じた成果報告を実施しています。再生資材のモデル的活用に関する実証試験を円滑に進めるため、地元自治体、地域住民等を対象に、その必要性、放射線影響に関する安全性等に係る対話型・参加型の理解・信頼醸成活動を実施しています。

対話型・参加型の理解・信頼醸成活動

2021年2月19日

東日本大震災から10年の節目にあたっての
小泉環境大臣と内堀福島県知事との会談について

⑩ 今後の取組

中間貯蔵開始後30年以内の県外最終処分に向けて、技術開発戦略に基づき、技術開発戦略を策定した2016年度から10年程度で基盤技術の開発を一通り完了し、再生利用を本格化することを目指し、減容処理技術及び再生利用技術の開発、再生利用の推進、最終処分の方向性の検討等の取組を政府のみならず我が国の総力を結集して進めてまいります。他方、再生利用先の具体化、本格実施や、全国民的な理解・信頼の醸成等の取組は、その後も長期的に継続実施していきます。

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飯舘村長泥地区における
再生利用実証事業について

飯舘村長泥地区では、住民の皆様の御理解、御協力のもと、除去土壌の再生利用実証事業を実施しています。

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中間貯蔵施設に係るこれまでの経緯

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参考資料・リンク集

動画

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パンフレット等

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