南相馬市原町区にある明醸館にて、えこえね南相馬研究機構 代表理事 高橋荘平さんから、除染と再エネの取組みについてのお話。

南相馬農地再生協議会の杉内清繁さんから「菜の花プロジェクト」についてお話しいただきながら、菜の花畑を見学。

今年9月に種まき会が行われた菜の花畑を見学。

菜の花を農地で栽培し収穫した菜種からできた菜種油。地元の高校生が「油菜ちゃん」と命名。

ソーラーヴィレッジ(営農型太陽光発電所)

高橋さんの説明でソーラーヴィレッジを見学。

ソーラービレッジ(営農型太陽光発電所)

地区内8ヵ所の農地(総面積6,032m2)に設備(総設備容量 332kW)を設置し、2015年9月に発電を開始。農地の一時転用に当たり、パネルによる遮光率を3割前後に抑え、この遮光率で栽培する作物の光飽和点を考えて収穫量が従来の8割以下にならないように工夫している。

お話ししてくださった方

(一社)南相馬除染研究所 /(一社)えこえね南相馬研究機構 代表理事

高橋 荘平(たかはし そうへい)さん

東日本大震災と原発事故によって、私たちの地域は、農林水産業の休業、商工業の事業所閉鎖や撤退、人口流出、コミュニティの分断など、様々な問題が起きてしまいました。

この状況を克服して、将来に向けて夢と希望を抱き、安心して住み続けることができるよう、南相馬市は「原子力に依存しないまち」「災害に強いまち」「地球環境への貢献」の三つのテーマを柱とする復興計画を策定しました。その基本政策の一つとして原子力から再生可能エネルギーへの転換や省エネルギー政策の推進など環境との共生を目指すことを掲げています。

私たち市民も、一人ひとりができる限りエネルギーの省力化や最適化に努めるとともに、地域資源を生かしたエネルギーの活用に取り組むことが大切だと思います。再生可能エネルギー導入による地域づくりが、原子力災害による風評被害を払拭し、復興の原動力として私たちや地域を変えていくと期待しています。そこに私たち市民が参画し資金が循環し、新たな産業や雇用を創出する可能性があると考えます。

また、この地域が新たな魅力を持つことで、他の地域や首都圏との交流も活発になり、子どもたちが夢の持てる街づくりに繋がっていくとも考えています。

(一社)えこえね南相馬研究機構
省エネや新エネルギーをまちづくりや復興に活かしていく学習・啓発、及び実践事業を行う。太田地区では、農業への減収を補うため、半農半電の推進モデル地区として、発電設備を設置。

福島県南相馬市原町区橋本町1-3-2 西棟1F
電話:0244-26-9494(南相馬除染研究所 内)

菜の花畑

農業の再開に向けて放射能除染効果を加味した農業の推進が求められている中、(一社)南相馬農地再生協議会では『菜の花プロジェクト』として、放射能を菜の花で吸収して農地の再生を実践している。

お話ししてくださった方

(一社)南相馬農地再生協議会

杉内 清繁(すぎうち きよしげ)さん

私は福島県南相馬市の有機米農家です。

18年前から有機農業に取組み始め以来、自然環境と対話しながら米づくりを続けてきました。しかし、2011年に起きた福島第一原発事故によって、私たちの生活は一変しました。放射性物質で環境が汚染され、農作物をつくることができなくなったのです。

私が住んでいる原町区太田地区は原発から20km圏の境界地域にあります。そこでは多くの田んぼが今も手つかずのまま放置されています。福島県の米は全量検査を行い、安全性を確認した上で出荷されていますが、風評などもあってなかなか売れません。

売れないと、やる気が起きないのでつくらなくなる。これまでは作付けをしなくても東京電力から賠償金が支払われてきましたが、今後は打ち切りの方向が示されています。このままでは米づくりを再開できずにやめてしまう農家も出てくるでしょう。

先が見えない状況の中、何とか農地を再生し、農業を復興したいという思いで始めたのが、「菜の花プロジェクト」です。

(一社)南相馬農地再生協議会
有機農業者、消費者、研究者、行政などが連携し、有機農業のさらなる発展を目指すネットワーク。原発事故で稲作が再開されていない農地に菜の花を植え、食用油、バイオ燃料によって地域でエネルギー生産を目指す。

福島県南相馬市原町区錦町2丁目67
電話: 0244-23-5611